timelesz「5人で抱いた夢はこれから僕たちが叶えていく」 3人だけの最初で最後のアリーナツアーを観て
菊池風磨「5人で抱いた夢はこれから僕たちtimeleszが叶えていく」
黒いセットアップに身を包んだメンバーがひとりずつ言葉を紡いでいく。 松島は、「僕たちの音楽を通して、ちょっとでも歩みを知ってもらえたら嬉しいなと思って今回のライブを作っております」とセットリストに込めた思いを明かす。「グループとしていろいろ変動があるなかで、こうやって会いに来てくれたことも本当に嬉しいです。ありがとうございます」とあらためて感謝し、「皆さんから勇気をもらいました。本来なら、僕たちが皆さんに勇気とか希望を届ける立場なんですけど、結局いつも皆さんからもらって帰ることに……いつもそうなってしまうというか。だから、皆さん一人ひとりが持っているパワーってすごいんだよ、ってことも今日は伝えたかったです」「みんなが僕らにかけてくださった時間って、本当にどれも貴重で。一日のなかでみんなは僕たちのこと考えてくれてると思うんですけど、我々も毎日、みんなのことを考えてますから。これからもみんなといろんな時間を共有して、素敵な時間を過ごしていきたい」とファンへの愛を惜しみなく伝える。現在進行している「timelesz project」についても、「少しずつ皆さんに理解してもらえるように、活動を通して一生懸命頑張っていきたい」「最終的にtimeleszを応援しててよかった、誇りだと思ってもらえるようなグループを目指したい」と前向きな姿勢を見せ、最後は指ハートを送って「ありがとう。ビッグラブ!」と笑顔を見せた。 佐藤は、「このツアーで毎回思っていることは、この状況をファンのみんなが支えてくれている、支えようとしていることがすごく僕たちに伝わって……聡ちゃんも言ってましたが、僕たちが支えなきゃいけない立場なのに、みんなが支えてくれて、本当に感謝しています」「いろんなことがあって、何回も何回もみんなに支えてもらって、これからいろんな不安や戸惑いを与えてしまったぶん、みんなが見たことのない――みんなで見たいから、高い景色。高いところから見える、見たことのない景色を見せたいなって思うので、これからもついてきてほしいなと思います」と、“不安”と“戸惑い”を与えたことを丁寧に振り返りながら、ファンという存在の大きさをあらためて伝える。そして、timeleszの名前に込められた思いのひとつとして「頭文字はT。アルファベットを数えていくと、Tの次がUです。Uはあなた。あなたの前にtimeleszがいる、そんな思いを込めています。絶対、“みんなの目の前にいる”グループになりたい。ずっとずっとついてきてほしいなと思います」と語った。 菊池は「前を向いて突っ走って、その先にある大きな夢を叶えたい、素敵な景色を見たい、そんな思いで一心不乱に走り続けています。ただ、それが皆さんにとっては少し寂しい思いをさせているんじゃないかなとも思います。メンバーがふたりやめてしまって、グループ名まで変わって、もっと感傷に浸ったり、想いを馳せる一面があったり、一歩立ち止まって振り返ってほしい……そんなふうに思う人も少なくないと思います」とファンの心情を汲み取ったうえで、「ただ、僕たちはそれでも前を向きます。なぜ、前を向くのか? それは、僕たちが抱く夢、見たい景色は、5人のSexy Zoneが叶えたかった大きな大きな夢だからです。5大ドームも国立もチャートの総なめも、全部5人のSexy Zoneの夢だからです。Sexy Zoneという形じゃなくなって、ふたりがそれぞれの夢に歩いて行っても、僕たち5人で抱いた夢はこれからも僕たちtimeleszが叶えていきます」と語った。そして、自信を持った表情で「どんなに途方もないことでも、大丈夫です。全部うまくいきます。どうか僕たちtimeleszに、これからもついてきてください」と言い放った。最後に「もちろんSexy Zoneという宝箱はぎゅっと抱きしめて、これからも一歩一歩前に進んでいきたいと思います」と笑顔を見せた。 最終ブロックは最新EP『timelesz』の収録楽曲で構成され、現在の彼らの立ち位置を示していった。炎の特効が燃え上がるなか、ハードなダンスで自分たちの決意をあらためて宣言した「Anthem」、チルなナンバーをスキルフルに魅せた「Selfish Love」、レトロなシティポップをシンクロさせたダンスでグループを新たな次元に押し上げた「dilemma」と、彼らの高い実力に加えて、timeleszとしての独自性、そして個々の魅力を炸裂させていく。 本編最後の楽曲は「VIVID SUMMER DAYS」。王道のサマーチューンは、彼らにとって原点回帰とも言えるだろう。ムービングステージで3人がじゃれ合う姿は、この夏にしか見ることのできない眩しい光景だ。力を出し切るようにタオルを振り上げ、secondzもそれに応えるように手を振る――。新しい季節へ向かう前の、鮮やかで煌めきに満ちたステージだった。 アンコールでは2階スタンド席のトロッコから登場し、会場を驚かせる。一人ひとりの表情をたしかめるように笑顔を交わしてコミュニケーションする姿からは、この場にいる全員を誰ひとりとして置いていかないという、彼らの優しさと信念が感じられる。 ラストナンバーは「ぎゅっと」。アリーナを縦断する小さなトロッコ1台に3人がぎゅっと抱き締め合ったまま乗り込むシーンもあり、横浜アリーナがひとつとなった「ぎゅっと!」の声でライブの幕が閉じた。 これまでの歩みを大事に抱くようにして構成されたセットリストと、前人未踏の高みを目指し、それでも「ついてきてほしい」と願う誠実な姿からは、熱い思いで背中を押し、ともに進んでくれるファンがいるからこそ大きな夢を掲げていることがひしひしと伝わってきた。“個性を認め合う強さ”と“夢への貪欲な姿勢”、そしてたくさんのsecondzがついていることこそがtimeleszの大きな武器であり、原動力なのだろう。そのエネルギーさえあれば大きな夢も日々現実に近づいていくに違いない。新メンバーオーディションをはじめとした新しいチャレンジを重ねた先で彼らは、そして私たちは、一体どんな景色を見ることができるのか、期待せずにはいられない。そんな特別なライブだった。
草野英絵