古性、眞杉らを最後方からねじ伏せた犬伏湧也 帝王・山田裕仁氏「これほどの“直線一気”はめったに見られない」/京王閣競輪G3・決勝回顧
犬伏が大外から「ぶっ飛んで」きた!
直線の入り口で古性選手が眞杉選手を捉えて先頭に立ちますが、後続を一気に突き放すほどの勢いはありません。眞杉選手と古性選手の間からは小林選手も追いすがりますが、こちらも脚色は鈍く、伸びてくるような気配はなし。そこに、離れた外のイエローライン付近を通る新山選手が猛追。そしてさらにその外からは、最終2センターで大外を回っていた犬伏選手が、バンクを駆け下りながら「ぶっ飛んで」きました。
番手から差しにいった南選手も古性選手にジリジリと迫りますが、外を回っている新山選手と犬伏選手のほうが明らかに勢いはいい。新山選手にスピードをもらった新田選手がいい伸びをみせるも、こちらは位置的に届きそうにありません。先頭で粘る古性選手に南選手が並びかけたところを、外から伸びる2車がゴール寸前で捉えますが…最後のハンドル投げ勝負でグイッと前に出たのは、大外の犬伏選手でした。 最終2センターでも最後方というポジションから、直線だけで全員を捲りきってしまった犬伏選手。その上がりは圧巻の11秒0で、濡れた路面でこれほどの脚が使えるというのは、ちょっと信じられませんよ。競馬も嗜まれる方ならば、先日の天皇賞(秋)でドウデュースがみせた、驚異的な走りを思い浮かべたかもしれませんね。これほど文字通りの「直線一気!」なんて、めったに見られるものではありませんから。
猛者たちをねじ伏せた犬伏 競輪祭も期待大
捲り追い込んだ新山選手が2着で、大接戦となった3着争いは、古性選手と南選手の「同着」という結果に。新山選手もかなり強いレースをしているのですが、このレースに関しては犬伏選手がさらにその上をいったというか…勝った犬伏選手を褒めるしかないでしょうね。犬伏選手は6月の小松島以来となる、通算3度目のGIII制覇を達成。この強い相手にこれほど強いレースをできたことは、大きな自信となることでしょう。 展開的には古性選手が突き抜けるかと思われたのですが、最後のひと伸びを欠いて番手の南選手にも並ばれているあたり、やはり連戦の疲れが出ていたのでしょう。初日特選の最終2センターでのコース取りにしても、今のデキだとタテ脚勝負にそこまで自信が持てない…というのが背景にあったのかもしれません。それでも、同着であってもしっかり確定板に載ってくるというのが、古性選手の“凄味”なんですよね。 主導権を奪った眞杉選手についてはやはり、番手が地元の鈴木選手であるのを意識したレース運びだったように感じました。小林選手が仕掛けをもう少し遅らせてくれれば…というのはタラレバですが、それによって関東勢同士の「ガチンコ勝負」感が強まり、よりエキサイティングなレースになったと思います。好結果こそ出せませんでしたが、眞杉選手も小林選手も、自分のなすべきことをキッチリやっていましたよ。
10月9日に行われた四国の地区プロでは、久米康平選手(100期=徳島・33歳)や太田竜馬選手(109期=徳島・28歳)とともにチームスプリントを走り、素晴らしいタイムでチームの勝利に貢献していた犬伏選手。こういった切磋琢磨で自分の持ち味であるダッシュをさらに磨き上げて、さらにひと皮剥けつつあるのかもしれません。小倉・競輪祭(G1)でどんな走りをみせてくれるのか、本当に楽しみですよ!