G7声明草案、中国懸念浮き彫り-為替に関する従来の文言は維持
(ブルームバーグ): イタリアのストレーザで開かれている主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、世界貿易における中国の過大な役割を憂慮する声が目立ち、G7として「有害な慣行」に対抗するための統一戦線を構築する構えだ。
声明草案では、約1年前に新潟で開催された会合や先月にワシントンで行われた会合で採択された声明よりもかなり強い言葉が並んでいる。
ブルームバーグが確認した草案では「われわれは世界経済の強さと経済安全保障を強化し、システミックなショックや脆弱(ぜいじゃく)性から経済を守るために協力を進める」と表明。「この目的のため、われわれはサプライチェーンをより強靱(きょうじん)かつ信頼性が高く、多様で持続可能なものにし、有害な慣行に対応できるようにするとともに、重要な技術や新興技術を保護していく」と記された。
こうした文言はこれまでの声明にはない。従来は「自由で公正、かつルールに基づく多国間システム」に言及していただけだった。
声明は正式に承認されるまでに変更される可能性がある。共同声明の採択に向けて25日も会合が行われる。
複数の当局者の発言からは、中国の産業力が自国経済弱体化につながりかねないとの懸念が強まっていることがうかがえる。
フランスのルメール財務相は、中国の過剰生産に対する評価でG7がまとまる必要があると指摘。「われわれが行った議論のひとつは、中国との貿易ルールや過剰生産の問題を解決する必要性についてだった」とし、その問題に対して共通かつ強力な対応が必要だと述べた。
中国の過剰生産、ルメール仏財務相がG7としての共通評価求める
また声明草案は「世界経済の成長は過去の平均を下回る公算が大きく、国や地域によってばらつきがある」と指摘。「地政学的緊張の激化やエネルギー価格の変動が懸念されるなか、経済見通しは依然としてリスクにさらされている」とした。
為替に関する従来の文言は今回も維持される見通しとなった。草案では「明確なコミュニケーションを通じて負の波及効果を抑えるよう努める」などとも記された。