豪雨被害の町、持続的に手伝う仕組み模索 学生が提唱「野村モデル」
2018年の西日本豪雨で被害を受けた愛媛県西予市野村町。この町に通い、復興を手伝ってきた大学生たちが、将来も活動を続けていく仕組み作りを模索している。少子高齢化に悩む地域のヒントにもなりそうな「野村モデル」とは。 【写真】クラウドファンディングに挑戦する一般社団法人「NEOのむら」の辻本智大さん=2024年10月31日、兵庫県宝塚市、甲斐江里子撮影 高知県との山間にある野村町は、西日本豪雨で、ダムの緊急放流後に川が氾濫(はんらん)。市街地が浸水して5人が亡くなった。 復興に協力してきた愛媛大や大阪大が地元住民と連携し、21年に一般社団法人「NEOのむら」ができた。 大阪府や愛媛県などにいるNEOのむらの学生メンバーは30人ほど。年間で累計100人以上の学生が野村町を訪れ、イベントでのボランティアスタッフや、ユズの木の剪定(せんてい)の手伝いなどをしてきた。 野村町は、松山市から車で約1時間半ほど。通学圏内に大学がなく、大学進学のためには町を出る必要がある。 学生メンバーの一人、大阪大学2年の辻本智大(ちひろ)さん(20)は「若い人の力が必要な野村の人たちが喜んでくれるし、僕たちも温かく受け入れてもらえて、都会ではできない体験ができる」と話す。 一方で、学生たちには、かさむ交通費や宿泊費が悩みの種となってきた。 現在は、NEOのむらの会員からの支援などでまかなっているが、財政状況は厳しいという。「行く学生の数や頻度が減ってしまうのは、僕たちにとっても野村の人たちにとっても望ましくない」と辻本さん。 こうした現状の中、大学生たちが持続可能な仕組みを考えた。 町の土産品を開発し、収益の一部を交通費などに充てるというものだ。 今年7月、学生メンバーらが特産品などを使った商品を地元の人たちに説明。豪雨後に整備した畑で収穫したサツマイモを使ったスイーツを売り出すことに決めた。 NEOのむらでは、この商品の開発や改良にかかる費用などをクラウドファンディング(CF)で募っている。寄付の返礼に、町産の日本酒や農産品、地元メンバーによる町歩きを入れるなど、町の魅力もアピールする。 辻本さんは「若い人がいない場所は全国にもたくさんある。この『野村モデル』が町づくりのヒントになれば」。 寄付は11月30日まで、CFサイトのREADYFOR(https://readyfor.jp/projects/neonomura)から受け付けている。(甲斐江里子)
朝日新聞社