戦中に起きた183人死亡の炭鉱事故 調査の水中探検家が経過報告
太平洋戦争の開戦からまもなく、山口県の海底炭鉱「長生(ちょうせい)炭鉱」で水没事故が発生し、日本人と朝鮮半島出身者の計183人が亡くなった。82年を経た今年、市民有志が残された遺骨を収集しようと潜水調査に乗り出した。11日、水中探検家の男性が東京・永田町でその経過について報告した。 【写真】長生炭鉱の潜水調査に取り組む水中探検家の伊左治佳孝さん=2024年12月11日、東京都千代田区、高絢実撮影 「こんなところに遺骨が残っているのは悲しい。遺骨を返すお手伝いをしないといけない」。10月に長生炭鉱の遺骨調査を実施した、水中探検家の伊左治佳孝さん(36)は、そう強調した。 調査では、海に眠る長生炭鉱の中を潜った。水は濁って視界が悪く、「手元が見えない程度」だったという。水深は26メートルほど。ただ、「手探りだが、現時点では透明度がないので入れないということはない」状態だった。 また、炭鉱への入り口や、水中の炭鉱が崩落するリスクもある。コンクリートで補強するなど、安全確保策の必要性も訴えた。 伊左治さんはこの日、厚生労働省や外務省の担当者らとも面会。潜水調査の状況などを説明した。 伊左治さんは「どこの国の出身であっても、遺骨が残され、回収する見込みがないのは悲しい状態だと思う。まず、遺骨を回収し、遺族に返すことができたらうれしい」と話す。長生炭鉱について、来年1~2月にも調査を予定している。(高絢実)
朝日新聞社