お騒がせ系デザイナー「アヴァヴァヴ」の意外な素顔 「最後はユーモアが勝つ」
WWD:コンセプチュアルなショーは賛否を呼ぶこともある。
カールソン:他の人の受け止め方は絶対にコントロールできない。私たちにとって重要なのは、「アヴァヴァヴ」の視点を提示すること。私たちが信じているものを明確にできさえすれば、それをどう解釈するかは受け手次第だから。いろんな人の受け止め方が、また新しいアイデアにつながることもあるしね。とはいえ、たまにムカつく時もあるけど(笑)。
WWD:毎シーズン、ファッション産業へのアンチテーゼが込められているが、特にどんな部分にストレスを感じる?
カールソン:一番はスピードが早すぎること。パートナーや妹しかり、私のまわりには映像業界にいる人たちが多くて、彼らは1つの作品を作り上げるのに1年くらいかけるの。もちろん、映像業界や音楽業界にはそれぞれの難しさがたくさんあるだろうけど、単純に時間をかけて作品作りができるという点ではすごくうらやましい。
WWD:それでもファッションが好きな理由は?
カールソン:進化の余地がたくさんあるからかな。ファッションの前進する勢いに魅了される。それに、ファッションビジネスもゲームみたいで面白いから。例えばこの業界には、常に新しさを求める“ルール”みたいなものがあるでしょう。まず学ぶべきルールがたくさんあって、ルールを知ると、アレンジを加えて自分たちなりの遊び方ができる。私たちみたいな若いデザイナーは、ルールばかりに従いすぎると振り回されて、遊び方や面白さを見失ってしまう。自分が本当に愛せるデザインに価値を置くことが重要で、そこから何か新しさを生み出すことが勝ち筋なんだと考えるの。今まさに、自分たちらしいファッションビジネスの楽しみ方を学んでいる最中よ。
WWD:そもそもファッションデザイナーを目指したきっかけは?
カールソン:昔から音楽かデザインかどちらかの道に進もうと思っていた。スウェーデンの音楽学校に6年間通い、自分の曲もたくさん作ったわ。音楽の周りにあるカルチャーもすごく好きで、ファッションは音楽とカルチャーの交差点のようなものだった。それでファッションに興味を持ち始めて、ファッションビジネスの複雑な仕組みにも引き込まれていった。もともと多ジャンルのクリエイティブなフィールドには興味があって、「アヴァヴァヴ」のショーでも、音楽の制作にも関わったり、ショーの記録映像をドキュメンタリー作品にしたりもしている。「アヴァヴァヴ」はファッションデザインだけのブランドではなく、多彩なクリエイティブが発揮できるプラットホームであるのが理想ね。