お騒がせ系デザイナー「アヴァヴァヴ」の意外な素顔 「最後はユーモアが勝つ」
WWD:「アディダス」とのコラボが実現した背景は?
カールソン:「アディダス」からコンタクトしてくれた。とても貴重な機会ですごくうれしかった。スポーツとは全く無縁の私たちが(笑)、スポーツを解釈するとしたら?というのがコンセプトの出発点。ドイツの本社に行って、アーカイブやブランドの歴史を改めて学んだの。そこから「アディダス」のクラシックな要素であるトラックスーツやエアライナーバッグを、「アヴァヴァヴ」風に“進化”させてできたのが今回のコレクションよ。
WWD:東京でイベントを開催した意図は?
カールソン:「アディダス」の日本チームからの提案だった。私は日本の文化が大好きだから、これは絶好のチャンスと思って飛びついた。ミニゴルフのセットにしたのは、私たちに身近なスポーツといえばミニゴルフくらいだったから(笑)。
ショーは認知療法のようなもの
WWD:毎シーズン話題を呼ぶショーの演出はどのように企画している?
カールソン:ショーは私たちにとってすごく大切な場。大抵は私がパートナーのダニエルに相談しながらいろんなアイデアを練るの。ダニエルは映像監督でコメディアン。彼が私のアイデアをチームに伝えて、全員でそれを形にするから、ショーの制作期間はファッションブランドというより制作会社みたい。私たちにとってショーは、観客を巻き込んだ認知行動療法みたいなもの。人が無意識に恐れているものや避けているものを意図的にテーマにして、凝り固まった考え方をほぐすセラピーね。たとえば最初のショーは、「ランウエイで起こりうる最悪な出来事」からイメージを膨らませて、モデルのドレスが壊れたり、ランウエイ上で転んだりする演出にしたの。
WWD:競技場で開催した2025年春夏のファッションショーは、モデルが歩いたり、転んだりの短距離走形式だった。
カールソン:「最後は必ずユーモアが勝つ」が私の信条。ファッションもスポーツもシリアスになりすぎで、ユーモアが足りていないと思うの。ショー前には毎回モデルたちと入念に打ち合わせをして、彼らがショーのコンセプトについてどう思うか、パフォーマンスに本当に参加したいかどうか、演出に違和感を感じる部分はないかを確認する。その上で今回は、スポーツのコンセプトに入り込んで、とにかく全力を出し切ってとお願いした。でもアイコンシューズのフィンガーシューズはめちゃくちゃ走りづらいから、結果ああいう形になったの(笑)。