田中将大(36)“アテがなければ退団しない”でヤクルト最有力 「嶋ヘッド」でも「先発の需要」でもない、巨人にはない決め手とは?
ヤクルトは最もローテ入りに近い球団
となると、セ・リーグで先発投手陣の強化が喫緊の課題になっている球団と言えば、ヤクルトが真っ先に挙げられる。チーム防御率はリーグ最悪の3.64。村上宗隆内野手、ホセ・オスナ内野手、ドミンゴ・サンタナ外野手らを擁する強力打線に比べ、投手陣が見劣りする。 「石川(雅規投手)もまだ頑張れています。マー君がローテーションに入れる可能性が最も高いチームと言えます」(同前) 高津臣吾監督は単年契約の来季、背水の陣で臨む。3年連続Bクラスに沈めば、退任は既定路線とされている。 「マー君がどこまで戦力なるかは分かりません。ただ、豊富な経験や、200勝へカウントダウンに入っていることがチームに刺激を与えることは期待できます。集客が見込める興行を打てる魅力もあります」(同) 田中はフリーエージェント(FA)権を保持しているものの、今回は自由契約となる。FA権行使なら楽天では年俸が上位3選手に入るAランクの選手で、移籍先の球団には人的、金銭補償で多大な負担を強いることになっていた。 「資金が潤沢とは言えないヤクルトには何の補償も要らない自由契約は好都合です。後はどこまで年俸を出せるか。と言っても、今のマー君が金銭面を判断基準にするとは思えません。本人も言っているように、最も必要とされ、最も力を発揮できる球団に行くのではないでしょうか」
かつての女房役の存在
それがヤクルトなのだと元監督は力説する。 確かに巨人も今季15勝(3敗)を挙げた菅野智之投手が海外FAでのメジャー挑戦を表明したため、先発陣の補強は最優先事項だ。 「菅野が抜けても巨人の投手陣はヤクルトより上でしょう。競争に勝ち抜いてローテーションに食い込むことはそう簡単ではありません。仮にヤクルトをしのぐオファーが出てきたとしても、おカネより環境重視のマー君は巨人を最優先には考えないのではないでしょうか」 巨人には09、13年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表で田中とともにプレーした阿部慎之助監督や、小学時代に捕手だった田中がバッテリーを組んだ同学年の坂本勇人内野手もいる強みがありそうだが……。元監督は「人との縁からもヤクルト有利とみています」とした上で、楽天時代に田中と名バッテリーを組んだ嶋基宏ヘッドコーチの存在を挙げた。 「2人は親交が深いです。マー君は既に嶋からヤクルトの情報を得ているでしょう。(獲得球団が現れるという)アテがなければ、たとえ屈辱的な大幅ダウンだったとしても楽天を退団はしないはずです。(ヤクルト移籍の)道筋が見えていると言っても過言ではありません。石井SDがヤクルトOBで、根回しが可能なパイプを持っていることもヤクルト有利の根拠を強化しています」