ラグビー代表・姫野和樹が「通訳ナシで外国人選手と話す」ために重ねた努力
続けるためには「投資」する
英語に限らず、何かを勉強している人は、必要があって始めたはずです。くじけそうなときは「なぜそれを始めたか」に立ち戻り、目標や夢を強く意識するといいと思います。僕は、自分がどんな人間になりたいか長期的な目標や夢を書き出し、目につく場所に飾っています。 安くはない授業料を払って英会話教室に通っていることも、続いている理由かもしれません。自己投資にかけたお金の価値は、自分がどれだけ勉強するかによって、倍以上にもなれば半分にもなる。僕は昔から続かないタイプだったので、やらざるを得ない状況をつくるために、自分に投資することは追い風になっていると思います。 英語学習を始めて4年目の2021年、世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」のハイランダーズへの期限付き移籍が決まり、ニュージーランドで半年間プレーしました。 ある程度は勉強したつもりでしたが、行ってみると、全然聞き取れない。学んでいたアメリカやイギリスの英語に比べて、南半球の英語は方言など地域特有の言葉があったりして、すごくとまどいました。 現地では、3人の外国人との共同生活でした。見知らぬ人と集まって生活するのは初体験。毎週のハイレベルな試合に向けてハードな練習を重ねる一方で、帰宅しても異文化コミュニケーションで気を遣う。息抜きが難しく、ストレスの多い日々でした。 でもそれは、僕の狙い通りでもありました。当時の僕は、2019年のワールドカップを経て、中堅選手として認められるようになっていました。 ハイランダーズへの移籍は、そんな居心地のいい環境を離れるため。トヨタでいきなりキャプテンになったときも失敗だらけでしたが、数々の失敗から学んで立ち上がり、次に何をすべきか考えることで成長してきた自負が僕にはある。失敗すれば成長できると、あえてストレスがかかるだろう環境に飛びこんだのです。ニュージーランドでは、自分の望んだ環境で密度の濃い経験ができました。