3Lフルチューンの240ZG! インジェクション仕様で速さと乗りやすさを両立した快速フェアレディZ
1973年式フェアレディ240ZG L28/3リットル+JENVEY6スロットル+LINK ECU 【画像17枚】L28型改3Lユニットにジェンビーの6連スロットルを組み合わせ、唯一無二の240ZGに仕上げている。旧車らしさを残しつつ、速くて快適な快速仕様に仕上げた 旧車との付き合い方は千差万別。オリジナル志向の人もいれば、性能アップをはかる人もいる。この1973年式フェアレディ240ZGに乗るオーナーは、末長く愛車と付き合うためにスポーツインジェクション化を選んだ。 美しくレストアされた240ZGの心臓部には、ジェンビー製ツインスロットルボディによる6連スロットル化で武装したL28型改3Lフルチューンユニットが搭載される。実は、機嫌をうかがいながら付き合うキャブレターの魅力も捨てがたいと、かなり悩んだという。しかし、いつでも快調に乗れる仕様にするために、フルコン制御の6連スロットル化に着手したという。 根っからのクルマ好きで、ポルシェやフェラーリ、アメ車にSUVまで、あらゆる趣味グルマを所有してきたオーナー。クルマ遊びをし尽くし、「もうクルマはいいかな……」とその情熱が冷めかけていた頃に出合ったのが、少年時代に憧れたS30Zだった。 「14~15歳の頃に近所のお兄ちゃんたちが乗っていて、いつもカッコいいなと思っていましたね」と振り返る。 多感な時期に芽生えた感情は、心の奥に宿り続けているもの。オーナーの記憶にはS30フェアレディZのフォルムやL型エンジンサウンドが焼き付いていたのであろう。ひさびさにL型チューンドのサウンドを聴いたとき、フェラーリのV8やV12よりしびれる音だと感じたそうだ。 懐かしい思いを呼び起こすことになったきっかけは、ふとした偶然だ。市街地を走行中に視界に入ってきたのが、S30Zとハコスカの2台の姿だった。懐かしさもあり、思わずクルマを止めてオーナーに声をかけた。見知らぬ相手だったが、すぐに打ち解けて旧車談議に花が咲いた。冷めかけていたクルマへの情熱に、ふたたび火が灯った瞬間だった。
入手して3カ月後にはソレックスにタコ足を装着。その後レストアにも着手
「思い立ったら吉日」がモットーというオーナーは、憧れだったS30Zを入手すべく動き始めた。 地元の自動車修理工場を介して、1973年式の240ZGを手に入れた。購入したのはパッと見はキレイなノーマル車。 エンジンルームにはL24型が搭載されており、SUツインキャブも当時のままだった。 しかし、肝心の走りは、期待していたものとはかけ離れていたそうだ。 「空冷ポルシェのような走りを頭の中で勝手にイメージしていたんでしょうね。あまりにボディがクタクタで驚きました。 当時の日本車とドイツ車はこんなに技術力に差があったんだと思い知りました。まずはボディ補強から手を付けなきゃあかんなと思いました。 エンジンについてもこれが昭和のクルマなんだな……と。3速から4速にシフトアップしてもまったく加速していかない。 ファミリーカーなのか!?と思ったのが正直な印象です」 しかし、元々レストアやチューニングをすることを前提に手に入れた240Z。最新スポーツにはない「クルマらしさ」を感じたのも確かだった。もちろん不満は少なくなかったが、それを補っても余りあるほどの高揚感が240Zにはあった。 実際に、それからの入れ込みぶりは尋常ではない。多忙な仕事の合間に240Zと向きあい、地元の自動車修理工場の手を借りながら急ピッチで自分好みに仕上げていった。 「3カ月後には、ソレックス44PHHやフジツボのタコ足&マフラーを装着し、旧車らしいサウンドになりました。そして、翌年にはレストアに着手。予想以上に劣化が進んでいましたが、フレームやストラット周辺に補強を入れながらしっかりと修復しました。スポット溶接も1300カ所も追加しています。ホワイトだったボディ色は日産80周年記念カラーのプレミアムサンフレアオレンジに塗り直しました」