“フォトジェニック”な殺人の美学 『キラー・ザ・ハイヒール』が導くゲームの結末
両親の“狂気”とも重なるジェニファーの自己表現欲
ティーンエイジャーであるジェニファーが常にカメラを回しているのも印象的だった。浮気した彼氏に見せるためだけに、適当に見つけた男とのキスの様子をライブ配信したり、心が動いたらすぐにチェキに自分の姿を収める。ジェニファー自身は狂った両親の行動に嫌悪を抱いているように見えるが、常にリアルタイムの自分をSNSに更新していくジェニファーにも似たような自己表現欲を感じるのだ。 原題『This Game's Called Murder』が伏線であると先述した。ティーンエイジャーの時の経験が後の人生に思わぬ影響を与えるように、ジェニファーの「人生ゲーム」における小さい「選択」が物語の“カギ”となっている。「選択」を重ねていった結果として、次のステージに進むきっかけを得るジェニファー。この「選択」について詳しく記すことは避けるが、勝手に「赤いハイヒール」に期待ばかりしていると、きっと思わぬトラップにハマってしまうだろう。
佐藤アーシャマリア