「大人になってから友達を作るのは難しい」静岡に移住し子育てをする竹内由恵がコロナ禍で感じたもどかしさ
コロナ禍でママ友ができずに感じた孤独
――お子さんが生まれてからの生活はどんな感じでしたか? 竹内由恵: 息子は2021年1月生まれで、静岡で暮らし始めてから一年後ぐらいに生まれました。 生まれたばかりの頃は家の中で過ごしていて、毎日息子のことを眺められて、手も足も顔も全てが可愛くて眺めているだけで幸せを感じていたのですが、ふと「この世界には私と息子しかいない、世の中から取り残されている」という感覚になってしまうことがありました。 他の大人やママさんと話す機会がなくて世間の情報が入ってこなかったし、「他の人はどうしているんだろう?」と見る時間や余裕がなかったですね。 ――ママ友を作ろうとはしなかったのですか? 竹内由恵: 息子が生まれてから半年たった時、「子育てひろば」に通うようになりました。そこでは子ども同士で遊べて、お母さん同士で交流できる場所もあります。息子も楽しそうだったし、私もお母さん達と一言二言話すだけでも、まったく他人との会話をしていなかった頃と比べてすごく楽しくて、結構通っていました。 でも、ママ友ができるとまではいかなかったです。私自身、友達を増やすのが元々得意な方ではなくて、初めて会うお母さん達に話しかけようとはするのですが恥ずかしさもあり、どこまで自分のことを話していいのか分からなかったのです。常套句のように、まずは、「何歳ですか?」「何か月ですか?」と聞くのですが、その後の会話が続かなくなってしまい、結局子どもの様子を眺めるだけになってしまっていました。 おそらく自分の中で、「仕事で東京に行っている私に話かけられたら嫌な思いをしないかな」といった不安も感じていたのです。実際にコロナが酷くなってからは、子育て支援広場も「東京に行っている人は数週間あけてから来てください」「子ども同士の距離を1m以上開けてください」など制限がかかってしまい、私は東京で仕事をしていたので行きにくくなってしまいました。 本当は子育て支援広場で出会ったお母さん達に「お茶行きませんか?」と誘うことができていたら、より一層関係が深まり“ママ友”になれていたと思うのですが、コロナ禍でお茶に行くこともできなかったので、それもママ友ができなかった理由かもしれません。 ――コロナが少し落ち着いた頃には変化があったのでしょうか。 竹内由恵: 最近は「今度お茶行きましょう」「LINE交換しましょう」と声をかけてくださった2、3人とママ友になることができました。夫と子どもを交えて、家族ぐるみでお茶ができてとても楽しいです。結局、自分からは声をかけることがなかなかできず、声をかけてきてくださった方達なので「声をかけてくれてありがとうございます」という感謝しかないです。東京の友達も、今も連絡を取りあう仲ではありますが、同じ環境の方が共通の話題も多くなるので、住んでいる場所で友達を作るのはすごく大事な事だなと思っています。