アニメイト書店員牧野麻紀子さんの「いま人に薦めたい愛読マンガ」7冊「心震えまくりの作品。続きが楽しみ」
人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?
◆『ミステリと言う勿れ』田村由美/小学館 久能整は飄々とした性格ながら観察力と弁舌に優れた大学生。さまざまな事件に巻き込まれながらも、それを解決に導いていくミステリーマンガ。 「ドラマ化もされた大ヒット作ですが、原作を読む機会を逃しており、最近読み始めました。読んでいくうちに、大好きな京極夏彦先生の『百鬼夜行』シリーズみたいだな、と。整くんのとりとめのない雑談のような会話から、次第に解き明かされる謎や心のもやもやは、京極堂の憑き物落としのよう。令和にはこれが効きます。寝る前に読むと、もっと読みたい! となりつつ、心がすっと落ち着いて安眠を誘います。大事に大事に読みたいシリーズ」
牧野麻紀子さんの「マンガを読むときのマイルール」
「いまだに電子よりも紙の書籍で読みたい派です。没入感が違うんですよね。指でページをめくる贅沢時間を含めて読書体験なので、日々の雑事を終わらせて、処々整えてからと思うと、夜遅くからの読書タイムになりがちです。結果、積読が増えています」
今、最も注目している新人作家とその作品は?
◆『君がまた描きだす線』加藤羽入/祥伝社 とあるマンガ編集プロダクションを舞台に「自分が自分であるために」闘う女性たちの夢とリアルを描いたオムニバスストーリー。 「『マンガ』という表現手段を通じて、生きる道を見つけようともがく人々の清き挑戦の物語。3話目の、毎月届くファンレターでつながるファンとマンガ家の物語が心に染みます。伝える情熱と受け取る魂の交流。心に秘めた想いを表現することで未来は変えられるかもしれない。私も、大好きな作家さんに『ファンレター書こう……っ! 』って思いました。マンガから特別な栄養を摂取している方には、ぜひおすすめしたい1作です」
食欲の秋に読みたいグルメマンガは?
◆『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』松本あやか/ぶんか社 新米編集者の石田友也は、入院した先輩のピンチヒッターで、急きょ有名料理研究家三ツ矢歩の原稿の受け取り担当に任命される。先生にふるまわれる料理にすっかり胃袋をつかまれ……。 「ドラマ化されているふんわりボーイ・ミーツ・ダンディ・グルメラブ(笑)。ナイスミドルな料理研究家と、腹ペコ元球児との『ごはん』を通しての優しいラブが展開されます。お料理がおいしそう! そして腹ペコ大型ワンコ系彼の食べっぷりに三ツ矢先生でなくても惚れます。エロいシーンはないのでご安心を。これを読んで、雲田はるこ先生の『R先生のおやつ』を思い出しました。こちらもイケオジR先生の料理に見事に餌付けされるイケメン助手君が出てきます。お目目と心が満たされます!」