写真：HOMINIS

声優・アーティストとして活動する青山吉能が、12月10日にduo MUSIC EXCHANGEで「青山吉能 トーク＆ライブツアー2023『こぼればな（し）』」の東京公演を開催した。11月4日の熊本公演を皮切りに大阪と東京の3都市で開催された本ツアー。千秋楽となった東京公演のうち、本稿では1部の模様をお届けする。 【写真を見る】「青山吉能 トーク＆ライブツアー2023『こぼればな（し）』」の東京公演より 2022年3月9日にソロデビューを果たした青山は、2023年3月8日には1stアルバム「la valigia」をリリースし、同年5月13日には横浜ランドマークホールにて開催されたバースデーライブ「されど空の青さを知る」が昼夜公演共に即ソールドアウトとなるなど、名実ともにソロアーティストとしての地位を高めている。そんな彼女の姿を一目見ようと会場には多くのファンが駆けつけた。 暗がりの中、セットが施されたステージに登場した青山は「楽しんでいってください！」と呼びかけると、アコースティックな音色とともに「Sunday」で幕を開けた。このまま楽曲披露の流れかと思いきや、ここからMCのゆーじ・あっさーのこと浅野佑二が登場し、トークコーナーへ。まずは2023年を振り返り、青山は「自分の曲がそんなに無い中で、バースデーライブではほぼ全曲やってこそばゆかったんですよ。カバーとは違って青山吉能は青山吉能しか導けないのでそれが最初は不安でした」と振り返りつつも、ツアーを通して「曲が自分に馴染んでいくのを感じた」と手応えを明かした。 1stアルバムやバースデーライブなど青山にとって基点となった出来事を振り返りながら、「この1年はたくさんの期待を背負った1年だったなと感じています。自分の関わった作品が想像以上に爆売れして、それに乗っかっていると見られるのがプレッシャーでした。私もその気持ちを背負っていかないといけないんだなって」としみじみ。また、今年9月に開設されたOfficial Fan Club「よぴぴん家DX」については、最初は作る気はなかったと明かしつつも、「新しく知ってくださった方と、今までのよぴちゃんを知ってくださっている方がいる中で、絶対に(ライブに)行きたいと言ってくださる方が行きづらい状況なのを感じて、絶対行きたいと思っていただいている方に来ていただけるようにしたかった」と開設の理由を語った。 9月27日に配信リリースされた「空飛ぶペンギン」では、当時燃え尽き症候群になっていた青山がふと「空飛ぶペンギン」を聞いた時にスーッと心に入ってきて「歌いたい！」と思うようになったというエピソードやMV撮影時の裏話も。 ここからはツアータイトルにちなんで「こぼればな（し）クイズ」が行われた。クイズに正解すると、福引券がプレゼントされ、それと引き換えに豪華なプレゼントが当たる福引に挑戦することができる。「青山さんは〇〇がとんでもなく早い」「青山吉能の推しポイント」「熊本公演の打ち上げで止めてくれよと思ったこととすごいなと思ったこと」といったクイズのラインナップに青山本人もタジタジ。結果は2問正解ということで2回福引にチャレンジした青山だが、残念ながら参加賞のポケットティッシュを引き当て、会場からは笑いが起こった。 大いに盛り上がったトークコーナーを経て、ここからはライブパートへ。ピンク色のライトに照らされて再び姿を現した青山は「Sweetly Lullaby」を艶やかにパフォーマンスすると、「あやめ色の夏に」では一転して一つひとつの歌詞に思いを乗せるようにしっとりと歌い上げる。 ギターの木原良輔とキーボードの杉直樹の自己紹介を挟みつつ、「Mandala」ではMCの和やかなムードから一転して幻想的なステージを作り上げていく。MCでは「それぞれの人の内側から溢れてこぼれた愛が集まって花束みたいになるので、このツアータイトルにしました」とツアータイトルに込められた意味を明かした。そして、「ツアーを経て得たものをお返しとしてみなさんに届けたいと思います」と語り、披露されたのはこの日が初披露の新曲。この日はワンコーラスだけの披露となったが、会場からは大きな拍手が巻き起こった。 高らかに声を響かせた「透明人間」、前へ進む勇気を授けてくれる「Page」の2曲を経て、本編のラストとなった「空飛ぶペンギン」ではアコースティックライブならではのアレンジで、伸びやかな歌声を届けていく。 アンコールで登場した青山は「(みなさんにとって)当たり前の存在になってほしいんですけど、度々振り返ると軌跡だなって思いながらこの日々を楽しんでいただけたらと思います」と思いを吐露。「クラップが重要な曲なので、盛り上がってきましょう」と叫び、披露されたのは「STEP&CLAP」。これまで座っていた観客も総立ちし、大きなクラップで青山の歌声に応える光景は感動的だった。 取材・文＝川崎龍也