いつも同じ道を通りたがる子どもには理由がある! 「いろいろな体験をしてほしい」親心が発達障害の子どもにはストレスになることも…〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉
『マンガでわかる 発達障害の子どもたち』#2
こだわりが強い、融通がきかない、といった特質を持つ子どもの行動には理由がある。発達障害、特にASD(自閉スペクトラム症)の臨床経験30年以上の医師が指南する、子どもの不思議な言動のサポート事例を紹介しよう。 【マンガを読む】CASE-6「園に行くとき、いつも同じ道を通りたがる」を読む
『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』(SBクリエイティブ)より、一部抜粋・再構成してお届けする。
「いつもと同じ」であることへの安心感が強いのかもしれません
自閉スペクトラムの特性がある子には、CASE6のマンガのように「いつもと同じ」であることへのこだわりが見られる場合があります。親としては、「どうしてこんなに抵抗するんだろう」と思うかもしれません。 でも、誰にでも「いつもと同じ」であるほうが楽だという感覚はありますよね。 例えばパジャマのズボンのように、どちらが前なのかが一目ではわかりにくい衣類を身につけるときには、前うしろを逆に着てしまうことがあります。 それでは生活ができないというわけではありませんが、やはり前うしろが逆になっていたら違和感があり、穿き直します。これも「いつもと同じ」を好むことのひとつの例です。 衣類の前うしろには多くの人が違和感を持つと思いますが、そのような感覚をもっと多くの場面で持つ人もいます。例えば、家具の配置が変わるとモヤモヤする人もいます。
判で押したように「いつもと同じ」を重視する子たち
自閉スペクトラムの特性がある人は、変化に対する違和感が多くの人よりも強いことがあります。その場合、変化の多い生活をしていて、従来通りではない出来事ばかりが続くと、心身ともに疲れてしまいがちです。 幼稚園に通っていれば、毎日同じスケジュール、同じメンバーで過ごせるというわけではないでしょう。子どもはいろいろな場面で、新しい体験をしているはずです。それは変化が苦手な子にとっては、気持ちが忙しくなってしまう日々かもしれません。 新しい体験を積み重ねていくなかで、せめて道順くらいはいつもと同じであってほしい。マンガのお子さんはそう感じているのかもしれません。 ほかにも、「同じ道のほうが気持ちいい」と感じる子や、「いつものルールで行動すると達成感を得られる」という子もいます。感じ方はさまざまですが、「いつもと同じ」を重要だと感じる子もいるということです。