「ダイエット中にラーメン食べちゃった」救うAIテクノロジー 管理栄養士〝ゆるっとでもいい〟と言う理由
記録は「ゆるっとでもいい」理由は
こうしたきめ細やかな対応を続ける「あすけん」が、他のアプリと異なる点について、道江さんは「サービスとユーザーのコミュニケーション」と考えています。 「表面上の機能を並べると、他のアプリと一緒かもしれません。でも、弊社の場合は機能だけでなく、ユーザーのみなさまがあすけんというアプリを通じて食事の選び方を学び、食習慣が変わっていくことを、長い目線で支援するように意識しています」 未来さんがかける言葉の内容や、どのタイミングで何を言うかなど、単なるAIのアドバイスではなく、栄養士たちが画面の向こう側の人を思い浮かべながら作り上げているのが「あすけん」の強みです。 「ヘルスケアのサービスはすべて継続が課題と言ってもいい。食事は運動と違い、今の所ウェアラブルデバイスでも自動的には記録できません。だからこそ、アプリとユーザー様の接点を増やし、利用開始初期はプッシュ通知をしたり、『記録したこと自体をほめる』ような未来さんのメッセージを出したりしています」 一方で、記録するという行為は、何らかの報酬がないと継続できません。「あすけん」ではそれを未来さんとのやりとりで提供しています。 食事の記録は、スーパーやコンビニなどの商品であれば、バーコードでも登録できます。食事の写真を撮影し、画像を分析する機能もありますが、例えば同じ「野菜炒め」であっても、どれだけ油を引くかは各家庭により異なり、肉に含まれる脂の量も日によって違うように、その精度には限界があります。 こうしたこともあり、道江さんは「ゆるっとでもいい」と言います。例えば、食事の記録を厳密にしようとすると「飲み会のときに脱落することが多い」(道江さん)。そのため、「ざっくり記録」の機能では、「飲み会」という項目を設けて、一般的な飲み会での飲食のカロリーや栄養素、アルコール量を記録できます。 「細かく記録できるユーザー様もいらっしゃいますが、そうじゃないユーザー様もいらっしゃいます。『何を食べたっけ、飲み会だったんだけど』でも、まずは記録することが大事です。 食事の記録が面倒であれば、体重だけでもいい。一度挫折しても、戻ってきてくださる方もたくさんいらっしゃる。帰ってきたらまた温かく迎える。それも許容するようなサービスでありたいと思っています」