デンマークが拘束中の反捕鯨活動家、早期引き渡し要請に海上保安庁捜査トップを異例の海外派遣
この間、容疑者側は居住先がある反捕鯨国フランスに政治亡命や仏国籍取得を申請し、引き渡し回避を画策してきた。ワトソン容疑者は12年にも中米コスタリカの国際手配に基づきドイツで拘束されたが、引き渡し前に保釈されて逃亡した経緯がある。
釈放なら再燃懸念
一方、海保や捕鯨関係者は、ワトソン容疑者が早期に釈放された場合、日本近海での過激な妨害が発生することを懸念している。
日本が南極海での調査捕鯨を取りやめ、領海と排他的経済水域(EEZ)内に限った商業捕鯨に切り替えた19年以降、捕鯨船への妨害はなかった。だが、ワトソン容疑者らは今年、最新鋭の大型捕鯨船「関鯨丸」への妨害を唐突に宣言。北太平洋に向けた航海の途中、補給のために立ち寄ったヌークで拘束された。
関鯨丸などで商業捕鯨を行う「共同船舶」(東京)の所英樹社長は「かつて南極海で起きた妨害行為が日本近海で再発し、乗組員や船に危険が及ばないか心配だ」と話した。日本近海に妨害船が現れれば、海保も、沖縄県・尖閣諸島で中国海警船から日本漁船を守っているのと同様に、捕鯨船の安全を確保するための警備が必要になるとみられる。