ギンナン出荷量日本一 愛知・稲沢で出荷ピーク
ギンナン出荷量全国1位の愛知県で、ギンナンの出荷がピークを迎えている。県内の主要産地である稲沢市祖父江町周辺では、朝早くから農家らがギンナンを天日干ししたり、サイズ分けしたりする作業などに追われている。今年は豊作で約140トンの出荷を見込む。出荷作業は12月上旬まで続く。
出荷量・愛知県が213トンで日本一
農林水産省公表のデータの中で最新となる、平成24年産特産果樹生産動態等調査の結果で、ギンナン出荷量は愛知県が213トンで日本一となっている。 主要産地の同町では、JA愛知西と契約する農家のギンナンを「祖父江ぎんなん」というブランド名で、名古屋や岐阜などの東海地方や、関東、関西方面の市場に出荷。主に飲食店で料理に使われる事が多い。 祖父江ぎんなんの特徴は、他の産地のギンナンより、粒が大きいところ。重さで比べた場合、1粒2~3グラムが一般的だが、祖父江ぎんなんの場合、1粒4グラム以上のものもある。JAや農家らでつくる祖父江ぎんなんブランド推進協議会では、3.5グラム以上のものを大粒と位置づけ、全体出荷量の約6割以上が大粒になるように努力しているという。
ギンナンの生産工程は?
同協議会によると、祖父江でギンナン栽培が始まったのは、今から100年ほど前。当時、ギンナン栽培発祥の地とされている祖父江町山崎地区から、名古屋市内へギンナンを売りに行ったところ、大粒だった祖父江のギンナンが、それまでの品種に比べて6~7倍の高値で売れたという。それを知った人たちの間で、大粒のギンナン生産が盛んに行われるようになり、集落全体に生産の輪が広がった。 もともと、同町内にイチョウの木が1万本以上あることも栽培が盛んな理由の1つ。イチョウの木は江戸時代から、神社仏閣や民家の周囲に植えられてきた。理由は、イチョウの木が燃えにくいことから、防災目的で活用。冬に吹く寒風の「伊吹おろし」から、屋根を守る理由もあったという。 同町では、ギンナン農家のおよそ8割、140軒ほどが、祖父江ぎんなんを生産している。簡単に生産工程をまとめると、農地にあるイチョウの木からギンナンの実を落とし、砕いて果肉(外)と、商品となる中身(胚乳)とを分ける。中身は水で洗ったあと、塩水に入れる。 浮かんだものは質が悪いので取り除く。その後、磨き砂で磨いて乾燥。サイズ別に分けて箱詰めし、出荷する。