妊娠中の「ビタミンD」不足で子どもがアレルギー疾患に発症しやすくなる 富山大研究グループ
富山大学は、「妊娠中に食事からビタミンDを摂取する量が、3歳時点の子どものアレルギー疾患と関連することを明らかにした」と発表しました。このニュースについて馬場医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが明らかにした内容とは?
編集部: 今回、富山大学の研究グループが明らかにした内容を教えてください。 馬場先生: 富山大学の研究グループは、妊娠中のビタミンD摂取量と3歳時点の子どものアレルギー疾患の関連性を調べました。研究成果は「International Archives of Allergy and Immunology」に掲載されています。 研究グループは7万3209組の母子を対象に、妊娠中のビタミンD摂取量を「食物摂取頻度調査票」を用いて評価し、5つのグループに分類して比較しました。その結果、妊娠中のビタミンD摂取量が多い母親の子どもでは、3歳時点でアレルギー性鼻炎の症状の発現が低いとのことでした。特に、ビタミンD摂取量が最も少ないグループと比較して、摂取量が2~4番目に多いグループで花粉症の発症率は低かったことが示されました。ただし、アレルギー性鼻結膜炎などのアレルギー症状では、ビタミンD摂取量による明確な差はみられませんでした。また、研究では妊娠中のビタミンDの平均摂取量が1日あたり4.7μgであることが判明し、これは調査時点の2015年版の日本人の食事摂取基準の妊婦向け推奨量7μgと比べて少ないことが明らかになりました。なお、ビタミンDの妊婦向け推奨量については、2020年版では8.5μgとなっています。 研究グループは「今後は子どもの食事内容など、さらに情報を集めるとともに、より高年齢でもアレルギー性鼻炎の予防が示唆される関連が認められるのか調べていく必要がある」と述べています。今回の研究は、妊娠中のビタミンD摂取が子どものアレルギー疾患に及ぼす影響を示唆するものですが、データの収集方法に限界があり、子どもが生まれた後のビタミンD摂取や日光曝露の影響が考慮されていない点に注意が必要です。