「太陽は極大期にある」NASAが発表…磁気嵐や低緯度オーロラが増える可能性（海外）
オーロラには脅威が伴う
太陽の噴出現象、例えば太陽フレアやコロナ質量放出（CME）は、地球上の誰にも直接的な害は及ぼさないが、電離層と呼ばれる上層大気の層に影響を与える。 GPSやナビゲーションに使用される高周波無線など、一部の技術は電離層に依存しており、太陽嵐の際には信号が途絶えてしまうことがある。 航空機は衛星通信と無線通信の両方を使用しているため、フライトの遅延を引き起こす可能性がある。実際、太陽嵐が発生する際には、フライトが少なくとも30分遅れる可能性が21%高くなることが2023年の研究で分かっている。 太陽嵐は人工衛星を軌道から押し出してしまうこともある。 非常に深刻な場合には、太陽嵐は電力網にも影響を与えることもある。1989年には地磁気嵐がケベック州の電力網を麻痺させ、アメリカ、イギリス、スウェーデンでも電力系統に問題を引き起こしている。 ここしばらくの間、それほど大きな出来事は起こっていないが、2024年の太陽の極大期は記録的なものとなった。2024年5月には、規模の大きな磁気嵐が発生し、オーロラがアーカンソー州まで南下した。 「これは過去20年間で地球に到達した最も強い太陽嵐であり、おそらく過去500年の記録の中で最も強いオーロラの一つだろう」と、アメリカ海洋大気庁（NOAA）の宇宙天気観測局（Space Weather Observations）のエルサイド・タラート（Elsayed Talaat）局長は述べている。 20年前とは異なり、NOAAは磁気嵐をより正確に予測できるようになり、影響する業界は磁気嵐が襲う前に備えることができるようになった。だが、NOAAの宇宙天気予報センター（Space Weather Prediction Center）でプログラムコーディネーターを務めるビル・マータフ（Bill Murtagh）によると、2024年5月の太陽嵐は、アメリカの一部の農家が依存する高精度のGPSを妨害し、約5億ドル（約747億円）の損失をもたらしたという。 「磁気嵐が大きくなるほどオーロラはより見えやすく、より南の方で見えるようになる。しかしこうした大規模な現象を喜んではいられない。なぜなら、我々の大切なインフラに対する脅威が伴うからだ」とマータフは10月15日の発表で話している。 「我々は常に、自分たちの望むことに注意を向けなければいけない」
太陽は今、極大期にある
太陽には静かな極小期から活発な極大期へと移行し、その後再び静まっていくという約11年の周期がある。 現在の太陽の極大期は、おそらく2023年初頭に始まったと見られており、太陽の表面には、磁力線が集中する低温領域である黒点がますます多くなっている。
Morgan McFall-Johnsen
