森香澄は「ダメと言ってもOKのときが」ジャンポケ斉藤の容疑で垣間見えた“性的同意”問題の難しさ
「性的同意」問題は今後も社会全体での議論が必要
細かい話になるが重要なところなので、この森の発言を分析していこう。 森は“1回は「ダメ」と言っていてもOKのときがある”ということを伝えており、“「ダメ」と言っていてもOKである”と主張しているわけではない。“1回は「ダメ」と言ってしまうときもあるから2回確認してほしい”という意見だ。 つまり、“最終的にはきちんと同意を取ってほしい”という意味だが、男性側からすれば1回「ダメ」と言われてもそれは女性の本心ではなく、まだ同意を得られる可能性があるという解釈もできてしまう。 実際にこういった森のような振る舞いをするタイプの女性は一定数いるし、「嫌よ嫌よも好きのうち」という慣用句も存在する。そのため、コミュ力が低かったり性欲で暴走していたりする男性のなかには、“相手の女性は「ダメ」と言っているがOKに違いない”と、都合よく曲解してしまうケースも出てきてしまうだろう。 また、さらに難しいのは“最終的に同意を得られればOK”というわけでもないところ。女性が「ダメ」と言っていても実はOKという可能性があると考え、粘りに粘りまくる男性が出てきてしまうこともありえるからだ。 何度もしつこく迫られれば、男性からの“圧”に恐怖心を抱いた女性が、本意ではないのに「うん」「いいよ」などと同意する発言をしてしまうこともあるかもしれない。欲望に駆られた男性が、“同意”という名の“言質”を取ることに必死になる姿は容易に想像できる。 斉藤と被害を訴えた女性の間に実際どんな会話があったのかは定かではない。ただ斉藤の事件とは関係なく一般論として、「性的同意」はまだまだセンシティブな問題をはらんでおり、社会全体で慎重に議論を続けていく必要があるように思う。
堺屋大地