「ウニの畜養」世界最大規模の工場 富山県朝日町に建設へ 東京のスタートアップ企業・ウニノミクスが進出
富山テレビ放送
朝日町が将来、「ウニ」の名産地となるかもしれません。 独自の「畜養」技術でおいしく商品価値の高いウニを効率的に育てる世界最大規模の工場が朝日町に建設されることになりました。 この「ウニの畜養」。 全国の海が抱える「磯焼け」の問題解決や持続可能な漁業につながると期待されています。 本来、殻の中に詰まっているはずの、いわゆるウニの身がスカスカのムラサキウニ。 これは、いま、全国で問題となっている「磯焼け」の海域に生息するウニです。 魚介類を育むコンブやワカメなどの海藻が増殖したウニに食べ尽くされることが「磯焼け」の一つの要因で、結果、そこに生息するウニも十分な栄養を摂ることができなくなり、痩せているのです。 「畜養」とはその痩せたウニに特別に開発された配合飼料を与えて育成する技術。 2ヶ月ほどの育成期間で美味しいウニの身が詰まり、商品価値の高い水産資源にすることができるというのです。 この技術を持つ東京のスタートアップ企業「ウニノミクス」が朝日町浜草野の町有地およそ3000坪を取得し、新たな工場を整備することが関係者への取材でわかりました。 工場は3棟建設される計画で、ウニの畜養工場としては世界最大規模、年間240トンのウニを出荷できるということです。 今回、朝日町に進出するウニノミクスは、現在、大分、山口に工場を持ち、海底から海藻がなくなる磯焼けの原因の一つとされているウニを周辺の漁協と協力し回収。 回収したウニにはほとんど身入りがなく、商品としての価値はありませんが、独自に開発、改良したエサを用いることで、8週間から12週間でウニを育て、地域のブランド品として出荷しています。 関係者によりますと、工場は早ければ再来年1月に最初の1棟が完成し、2028年に3棟すべてが完成する予定だということです。 ウニノミクスの県内進出は3年前、BBTの報道番組で大分の事業を取材した際、朝日町の漁業関係者のもとをウニノミクスの経営者が訪れたことがきっかけです。 朝日町の工場では、地元、泊漁協をはじめ新潟、石川、福井の漁協からもウニを買い付け、畜養に取り組むということで、関係者は、富山の新たなブランド品に育てたいと意気込んでいました。 12月25日には新田知事も出席して事業の詳細を発表する記者会見が行われることになっています。
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