バブル期に若者があふれた渋谷公園通り「モノを売るんじゃない」堤清二の消費哲学を具現化した街 ネット通販と高層ビルの時代に目指す姿とは
▽混沌が生み出す面白さに活路 ITなどスタートアップ(新興企業)の誘致などにより、街を訪れる人が変化しているが、パルコの川瀬賢二社長は「型にはまったスタイルではなく、何でも受け入れて面白がる土壌があることに変わりはない」と分析する。 渋谷パルコは老朽化のため2016年に一時閉店。ビルを建て替えて2019年に再びオープンした。引き続き劇場やギャラリーを設け、舞台公演や企画展を開催している。ゲームやキャラクターといったサブカルチャーに特化したフロアには、国内初の任天堂直営ショップを誘致。ファッションのフロアでは女性向け、男性向けといった前提にとらわれない商品陳列を展開する。飲食店が集まるフロアにあえてギャラリーやレコードショップを配置し、意図せずに文化に触れてもらう仕掛けもしている。 ビルの外側には10階から地上へつながるらせん階段があり、多くのベンチが置かれている。晴れた日には若者や家族連れがベンチに座り、おしゃべりする姿が見られる。渋谷パルコの建物の中に入らなくても仲間と集えるようにしたという。
川瀬氏は「クリーニング店の隣にバーが、青果店の隣にライブハウスがある。街とは本来そういうものだ」と語る。混沌とした空間が生み出す面白さに、渋谷公園通りは活路を見いだそうとしている。