イタリア・ヴェネツィアの、世界一ラグジュアリーな仮面舞踏会とは
セレブリティがこぞって旅のコーディネイトを依頼するのが、富裕層向けコンシェルジュサービス、アルカディアの才津香果(さいつかぐみ。以下かぐみ)さん。南極大陸プライベートジェット旅、アマゾン探検など、これまで自身の旅にかけてきた自腹総額は9億円超え。非日常を求め世界を回り続ける彼女が紹介する、脳がバグる驚きの旅とは。連載第1回は、イタリア・ヴェネツィアの仮面舞踏会ホッピング! 【写真8点】イタリア・ヴェネツィアの仮面舞踏会の様子
セレブ御用達コンシェルジュが行くバグり旅
夜のヴェネツィア。建物のライトアップが怪しく光り、水路には小舟があちこちに浮いている。ヴェネツィアカーニバルの夜、人々はこの小舟に乗って仮面舞踏会へと向かう。 「2024年の2月、私もその小舟のひとつに揺られていました。現地で選んだドレスは重さ5㎏以上、長い裾を踏まないよう、エスコートされ舟から下りました」 かぐみさんは3日間かけ3ヵ所の仮面舞踏会に参加。まるで物語の世界に入りこんだような体験が待っていた。 「仮面舞踏会のテーマに沿った衣装を着た人たちと、ショーを見ながらディナーをいただき、アフターパーティで深夜まで盛り上がるんです。なかでも、私が感動したのは最終日に訪れたアントニア・サウターさんというヴェネツィアのファッションデザイナーが企画・プロデュースした仮面舞踏会『イル・バッロ・デル・ドージェ』です」 世界一ラグジュアリーな仮面舞踏会ともいわれ、衣装、舞台デザイン、ストーリーがすべて完璧に揃うことで、幻想的な世界観をつくりあげる。 「ドレスコードは大変厳しく、伝統的な仮面舞踏会にふさわしい衣装を着ている人のみが、入場することが許されます」 長く続いたペストの時代、唯一の娯楽として中世の時代より続いてきた仮面舞踏会。その歴史と世界観を重んじ、参加者は競い合うように、華やかな衣装を纏(まと)う。 「仮面舞踏会のスタッフの存在感も秀逸でした。美しい衣装に、惜しみない笑顔、サーカスのような華麗な身のこなし。彼らはその世界を心から楽しんでいる。その一員になることで、私たちも映画のワンシーンに紛れこんだようで、照れなど感じず、仮面舞踏会の世界に没入することができるんです」 会場やインテリアなどのハード面は大事だが、かぐみさんは何よりもそこにいる人こそが、その場をつくると感じている。 「世界のラグジュアリーホテルも同じです。働いている人たちは皆さんその空間にふさわしい、洗練された気品があり、訪れたゲストをその世界観に誘う。それこそが極上のホスピタリティだと改めて感じました」 仮面舞踏会の参加費は最低でも日本円で30万円から。訪れるのは、旅慣れた世界のエグゼクティブばかりだ。夜9時ごろから、夜中の3時まで続く華やかで怪しい宴。自分ではない誰かになって過ごす長い夜に、セレブリティは酔いしれている。