ヒョンデが水素をエネルギー源とする燃料電池コンセプトカー「INITIUM(イニシウム)」を発表!
ヒョンデモーターカンパニーはこのほど、ヒョンデ・モータースタジオ高陽で開催されたイベント「Clearly Committed(真っすぐな信念)」において、水素をエネルギー源とする燃料電池自動車(FCEV)のコンセプトカー「INITIUM(イ二シウム)」を発表した。ヒョンデの新デザイン言語「アート・オブ・スチール」のデビュー作。SUVらしい風格を持ち、大胆なラインと強固な構造により都市生活での機能性とアウトドアアドベンチャーでの走行性をシームレスに統合 ラテン語で「始まり」または「最初」を意味するイニシウムは、「水素エネルギーのパイオニア」というヒョンデの地位と、水素社会の発展に対する同社のコミットメントを表している。 イニシウムは2025年前半に発表される予定の新型量産FCEVのプレビュー。同社が27年間にわたり開発した水素技術をすべて盛り込んでおり、持続可能な水素社会の実現に対する明確なコミットメントを反映している。 この独自のSUVタイプ水素燃料電池車コンセプトカーは、グループの水素バリューチェーンビジネスブランドであるHTWOの特徴を体現したヒョンデの新たなデザイン言語「Art of Steel(アート・オブ・スチール)」のデビュー作でもある。 ヒョンデモーターカンパニーの張在勲(チャン・ジェフン)社長兼CEOはこのように述べている。 「ヒョンデモーターはこの27 年間、一貫して水素に取り組んできましたが、その明確なコミットメントは『水素はクリーンでアクセスしやすく、誰にとっても公正なエネルギー源になる可能性がある』という確信に根ざしています。私たちは、水素をすべての人があらゆる場所においてあらゆるものに使っている未来を目指して懸命に取り組んでいます。皆さんも一緒にこの旅を続けましょう」 ヒョンデは今年の初めに開催されたCES 2024で、水素バリューチェーンビジネスのブランド「HTWO」を立ち上げた。これは、グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)会長がグループ全体での水素エネルギーの取り組みに力を入れていることを明確に示している。製造から貯蔵、輸送、利用に至るまでのエンドツーエンドの水素エネルギーソリューション「HTWO Grid」のビジョンを発表するなかで、会長は「水素社会の実現に積極的に取り組む」というグループのコミットメントを表明。そして「水素エネルギーへの移行は将来の世代のためのものである」として、グループにはこの目標を達成する力があることを強調した。 ヒョンデの新たなデザイン言語「アート・オブ・スチール」とは? このたびの発表会では、ヒョンデ&ジェネシス・グローバルデザイン担当のイ・サンヨプ副社長が「イニシウム」とともに、ヒョンデの新たなデザイン言語である「アート・オブ・スチール」を紹介した。副社長はこのように述べている。 「私たちの挑戦は製造段階から始まりました。鋼の成形性を極限まで高めて芸術品を作ったのです。『イニシウム』は、堅牢で安全な、よりSUVらしいデザインを作り上げました。この“顧客中心のデザイン”はお客様第一の考え方を反映しています」 イニシウムのアイコニックなデザインについては、「水素が動かす未来」に対するヒョンデのビジョンを表したHTWOのシンボルでもある「+」がライトに取り入れられている。このライトはバンパーと調和し、独自のライティング、重量感のあるボディ、洗練されたエレガンスを特徴とするFCEV特有のデザインを生み出している。 SUVらしい風格を持ち、大胆なラインと強固な構造により都市生活での機能性とアウトドアアドベンチャーでの走行性をシームレスに統合したイニシウムは、頑丈さと洗練のバランスを実現。21インチホイールは全体的なデザインに魅力を加え、頑丈なルーフラックは都市とアウトドア両方のライフスタイルを愉しむ人々のために実用性を高めている。 FCEVの性能・乗り心地・安全性を向上 イニシウムの開発にあたっては、水素自動車の主な強みである長い航続距離と優れた性能、ファミリーに最適な広々とした車内とラゲッジスペース、そして水素自動車ならではの利便性と安全性という、3つの主な側面が重視された。 水素をエネルギー源とするFCEVの最大の利点は、長い航続距離とそれがもたらす柔軟性。ヒョンデはイニシウムに大型水素燃料タンクを装備することで航続距離を最大化し、この水素FCEVの利点を強化した。また、転がり抵抗の低いタイヤの採用によって空気抵抗を低減したエアロダイナミック・ホイールを装着し、水素ステーション間の航続距離650km以上を目標としている。 性能では、優れた加速性とスムーズな追い越しを実現。燃料電池技術をさらに発展させることで、スタックの出力とバッテリー容量を増やし、最大150kW(204ps)の電気モーター出力を可能にした。これにより、都市部ではスムーズなドライビング、高速道路ではさらに高速の走行が可能となる。 ファミリー向けSUVにふさわしい広々とした車内スペースと汎用性も特色で、後部座席の広いリビングスペースや大きくリクライニングできるスペースを実現している。ワイドなボディと大きく開くリヤドアは、後部座席の高い乗降性にひと役買っている。 FCEVならではのルートプランナーにより、FCEV購入を躊躇する大きな原因となっている水素充填対策も万全だ。この機能により、アプリにアクセスしたり電話をかけたりすることなく、途中の水素ステーションを見つけて最適なルートがわかる。見つけた水素ステーションへのアクセス性のよさ、稼働状態、待機車両の数をチェックして、そのステーションで充電できるかを確認できる。 水素燃料電池は汚染物質を排出せずに電力を供給する。この電力はV2L(Vehicle-to-Load)機能により、さまざまな家電や個人のデバイスにも使うことができる。とくに屋外ターミナルは220Vの家庭用コンセントに直接接続できるよう設計されており、輸送手段としてだけでなくエネルギー供給手段としても活用できる。 同社の安全性に対する妥協なきコミットメントに基づき、イニシウムは最高水準の衝突安全性と運転安全性能を世界的に達成するよう開発された。衝突時の安全性を十分確保するため、フロントのマルチスケルトン構造とサイドボディ構造で強化するとともに、9つのエアバッグを装備することで、世界トップクラスの衝突安全性能を実現している。 このイニシウムは、11月に開催されるロサンゼルスオートショーと広州モーターショーで披露される予定。量産版は2025年前半に発売される見通しだ。
MotorFan編集部