デビュー25周年アルバムが1位! 急逝から9年のZARDが愛される理由
安易な英語の表現や流行語に頼らず普遍的な表現で勝負
とはいえ、『負けないで』の歌詞のサビ部分を見てみると、「負けないで もう少し 最後まで 走り抜けて♪」、「どんなに 離れてても 心は そばにいるわ♪」、「追いかけて 遥かな夢を♪」と、一見すると分かりやすいフレーズが羅列されているようにも思えるが、音楽プロデューサーはこう分析する。 「歌詞のフレーズ一つひとつは親しみやすい単純な言葉に思えるかもしれませんが、その実、安易に格好をつけて英語のワードを加えたり、キャッチーな流行語を取り入れたりせずに、あくまで普遍的な表現やセンテンスで勝負しています。それでいて理屈っぽくならず、曲を聴く世代を超えた人たちの脳裏に自然な心象風景を浮かばせるのはなかなか難しい。それに、言葉の配置や選び方も絶妙です。一例を挙げると、『負けないで もう少し 最後まで 走り抜けて♪』の部分については、『負けないで 最後まで 走り抜けて♪』でも意味は通用すると思いますが、そこに“もう少し”という1フレーズが加わることによって、応援する側のただがむしゃらにエールを送るだけではない、情緒的な部分が見事に引き出されている。それでいて短い1フレーズに集約することで、くどさを感じさせません。坂井さんは作詞をする際、かなり推敲(すいこう)して一つひとつの言葉を大切にしたという話ですが、この曲の歌詞にもその一端がにじみ出ているのではないでしょうか」 ロングセラーが生まれにくい昨今の音楽業界ではあるが、20年以上にわたって長く愛される名曲にはそれなりの理由があるようだ。 (文責/JAPAN芸能カルチャー研究所)