巨人・阿部監督、決意の大号令「ブリブリ振っていこう」打線に超積極指令 完全Vへ“交流戦男”は好調新戦力に期待
巨人の阿部慎之助監督(45)が3日、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。交流戦2カード連続勝ち越し、4勝2敗の好スタート。貯金4とし、セ・リーグ首位に浮上した。その裏で開幕から苦戦してきた攻撃陣に「ブリブリ振っていこうぜ」と大号令を出していたことを明かした。目指すは全6カード勝ち越し「勝ち点6」での交流戦完全優勝。4日からは11連勝がストップしたとはいえ、交流戦首位の好調ロッテと東京D3連戦に臨む。(取材・構成=片岡 優帆) ―5月30日のソフトバンク戦では5点差逆転勝利。対西武は3戦31安打14得点。その裏には阿部監督の大号令があった。 「ミーティングで『みんな、もっとブリブリ振っていこうぜ』『超積極的にいこうぜ』というようなことを伝えたんですよ」 ―言葉をかけたのは29日のソフトバンク戦(東京D)の試合前。前日28日の交流戦初戦で今季8度目の完封負けを喫し、嫌な流れを変えるためだった。 「打席内で割り切りができていないように見えたから。『ボール球振ったらしょうがないや』『空振りしてもいいや』って強振する人がいなかったでしょ。崩されないようにとか、きれいに打とうとか。そう思わせてしまっていたこっちも悪いんだけど、カウント有利の時とかサインが何もない時は、ブリブリ振って自ら仕掛けていくことも大事だなと。そのために号令をかけてやることも必要だと思って」 ―29日は延長12回に吉川がオスナの初球をとらえて右越えサヨナラ打。主力の丸、岡本和、坂本をはじめ強いスイングが増えた。5月の24試合中、16試合が2得点以下と大苦戦した状況が好転。交流戦2カード連続勝ち越しの好発進だ。 「選手には短期決戦のつもりでやろうと言ったんだけど、交流戦は1カード3試合で(3戦2勝で勝ち点の)大学のリーグ戦と同じだと。目指すは(パ6球団からの)勝ち点6で完全優勝だと。秋の短期決戦のリハーサルだと思ってやるぞっていう話をして」 ―交流戦から新外国人ヘルナンデスが合流。6試合連続安打で打率3割7分5厘と存在感を示している。 「交流戦で勝つチームって、だいたい交流戦男みたいな選手が出てくる。ヘルナンデスに期待したい」 ―短期決戦の精神で戦う中で、多少早めの継投はあり得るが、選手起用で無理をさせるつもりはない。 「投手の頑張りで今の位置にいる。リリーフが登板過多にならないように、泉、大江らに勝ちパターンで投げてもらうこともある。そこは臨機応変にいきたい」 ―5月12日のヤクルト戦(神宮)では、救援陣の登板が増えていた状況を考慮し、同点の7回に経験の少ない井上、平内を起用。失点して敗れたが、これも阿部流マネジメントだ。 「あそこで抑えたら、すごい自信になるだろうし。何とかこの投手で切り抜けてくれれば、っていう試合はシーズン中は絶対にある。そこで経験を積ませることも大事なことなので」 ―今は先も見据えて、投手も野手も時に試しながらチームを前に進めている。 「こっちも見極めていかないといけない部分もあるし、勝負はオールスター後、もっと言えば9月。それはみんな分かっていると思うし、去年優勝した阪神も9月がすごい勝率だった。それを目指してやるだけ」 ―左腕に相性が悪いソフトバンクに対し、左の高梨に今季チーム初の3連投を託し、翌日ベンチ外で休養させた。実績のない若手は2軍から1軍昇格即先発させない基本方針はあるが、赤星の2軍降格で急きょ生じた谷間で新人の又木にプロ初登板初先発のチャンスを与えた。固定観念にとらわれない柔軟な采配。野手への「ブリブリ振れ」も、今の時期だからこそ大胆に挑戦できることでもある。 「得点圏打率リーグワースト(・214)だったり、数字として顕著に出ている。とにかく個々が調子を上げてブリブリ振りにいく、超積極的にいく。そういうふうに切り替える月があってもいいのかな」 交流戦は残り4カード。キャンプから浸透させてきたバント、進塁打などの自己犠牲の細かい野球と、豪快なフルスイングの融合で阿部巨人に新風が吹く。 ◆交流戦の完全優勝 巨人は12年と14年(ともに24試合制)に交流戦を制したが、12年は日本ハムとロッテに2勝2敗で完全Vの経験はない。05年に始まった交流戦で、完全Vは09年と11年のソフトバンク、22年ヤクルトの3例。11年ソフトバンクと22年ヤクルトは交流戦Vの勢いでリーグ優勝を果たした。
報知新聞社