100回以上転職した41歳男性の半生。ついに実家から「出て行ってほしい」と言われて…
「とりあえず息していればいい」
――静岡の地元がずっと拠点だと、“すぐに仕事を辞める人”として、マーシーさんの噂が広まってしまうのでは? マーシー:派遣の営業さんの間で、情報交換されている可能性は全然ありますね。自分のYouTubeチャンネルが知られていることも過去にはありました。これまで30~40社の派遣会社を利用してきたんですが、事実として一番長く続いた仕事がせいぜい半年ほどなので、そうした情報が界隈で出回っても仕方ないことだと受け入れています。 ――では、仕事探しに支障をきたすようなことも? マーシー:意外とそれはないですね。職場をバックレた派遣会社からも普通にお仕事紹介の電話がきますし、むしろ最近は非常に採用されやすいです。人手不足とはいえ、よく自分みたいな人間に仕事を紹介するなと。派遣業界も人手が余程足りないのかなって心配になるレベルです。体力が必要な肉体労働は年齢が上がるほど採用されにくく、40歳以上は雇わないということで断られたことも何度かありますが、それも会社の考え方やタイミング次第です。 ――特に人手不足を肌で感じる業界は? マーシー:運送業界はこの1年で7社受けて、5社は面接の場ですぐに正社員として採用していただきました。なので、運送業界は人手が相当足りていない印象です。 ――いろんな経験を経てきたせいか、マーシーさんはすごく落ち着いている印象があるんですが、将来の不安って若い頃のほうがありましたか? マーシー:20代の頃は、結婚とか将来への希望があったので、30歳になるまでに自分の足場を固めるつもりでいました。ただ、その裏返しで焦燥感や危機感も大きかったです。でも、30代後半くらいになると、もう諦めの気持ちが強くなりました。 ――孔子も“四十にして惑わず”と言っていますが。 マーシー:まだ30歳手前までは、“いつか自分に合った職場が見つかるだろう”って思っていたんですけどね。今は、とりあえず息していればいいかなと……。 <取材・文/伊藤綾> ―[100回転職した男]― 【伊藤綾】 1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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