100回以上転職した41歳男性の半生。ついに実家から「出て行ってほしい」と言われて…
コロナ禍で実家を追い出される
マーシー:一応、SNSなどでは転職100回(実際には142回 ※取材時点)をウリにしていますが、正社員として働いたのは5~6社ぐらいです。 ――大まかに計算すると、職場ひとつにつき、勤続期間は平均3ヶ月ほどでしょうか。 マーシー:いえ、実際はもっと短いです。この21年間で働いた期間って延べ7~8年ほどで、残りの13年くらいは自宅警備員みたいな感じですので。 ――めげずに働く意志を今も持ち続けているところが、マーシーさんのおもしろいところというか、素晴らしいところだと思いますけれども。 マーシー:私の場合、実家住みでも携帯代やガソリン代などは最低限、支払う必要があったので。金欠になると「そろそろ働かなければマズい」という気持ちにはなりましたね。 ――現在は一人暮らしですか? マーシー:2020年7月に実家を追い出され、静岡の地元で一人暮らしを始めました。住み込みの仕事などで全国へ働きに出ましたが、基本的に拠点はずっと地元です。 ――2020年といえば、コロナ禍に突入した頃ですが、どういう経緯だったのでしょうか。 マーシー:毎月1万5000円ぐらい実家に入れていたんですが、当時はその支払いすら滞ってしまう状況でした。「今度こそ辞めないぞ」という固い決意のもと、農家へ住み込みで働きに行きましたが、2ヶ月でクビになり、仕方なく帰宅したら両親の堪忍袋の緒が切れたという……。 ――その時、ご両親はなんと? マーシー:率直に「出て行ってほしい」と。「お金がないから無理」と言ったら、改めて「引っ越し費用は出すから。出て行ってほしい」と。
無職になったら道の駅へ“エア出勤”。夕方まで読書に没頭
――いきなり大変な状況になりましたね。 マーシー:その前から実家では肩身が狭く、無職なのに仕事行くフリして、富士山が綺麗に見える道の駅で時間を潰す“エア出勤”とかもよくしていました。 ――エア出勤中に見る富士山って、めちゃめちゃ心に沁みそうですね。 マーシー:そこで夕方まで読書に没頭したり、人間観察したり。山梨との県境にある道の駅なので、監視の目も緩いというか。知り合いに会うこともないので落ち着くんです。 ――まるで自分が犯罪者みたいな物言いですけど(笑)。 マーシー:実際、30過ぎのおじさんが昼間の公園や駐車場に車を駐めて本とか読んでいると、警官に職務質問されるんですよ。別にいいんですけど、煩わしくて。道の駅でダラダラするようになりましたね。実家を出た今も仕事をバックレた朝などは、道の駅へ行くことが多いです。 ――マーシーさんとしては毎回、あくまでも長く働くつもりで仕事探しをしているんですか? マーシー:季節雇用なども含めて“採用されやすい”という理由で働いた職場もたくさんありますが、雇用形態を問わず、とにかく“自分が続けられそう”という基準で基本的には探していますよ。 ――“自分が続けられそう”で選んだはずなのに、どうしてそんなにすぐ辞めちゃうんですか? なんか詰問みたいになってスミマセン(笑)。 マーシー:仕事を辞める一番の理由は職場の人間関係みたいな感じですかね。少しキツいことを言われたらすぐ心が折れちゃうし、なんとなく仕事に行くのが憂鬱で怠くて辞めることも多いです。どうしても隣の芝が青く見えて、他の会社に移ったほうが良い人間関係を築けるのではないか、といった判断から転職し続けている。完全に“負のスパイラル”に陥っておりますね。