武尊「“やっと戦える”という喜びだった」 涙の復活KO勝利!ロッタンとにらみ合い「過去最高の試合に」
K-1元3階級制覇王者でISKA世界ライト級王者の武尊(33=team VASILEUS)がアジア史上最大の格闘技団体「ONE Championship」(ONE)のインタビューに応じた。9月の再起戦の振り返り、今後の展望そして対戦を待ち望むロッタン・ジットムアンノン(タイ)について語った。 「“やっと試合ができるな”という嬉しさだけだった。ロッタンと戦えることへの喜びだけでした」。 昨年4月にONEと複数試合契約した武尊。ONEと契約した理由は同じスタイルでファンを魅了するロッタンとの対戦のためだった。ONEデビュー戦となる今年1月のONE日本大会で一度はロッタンとの対戦が決定したが、ロッタンのケガにより対戦が消滅。代理カードでONEフライ級キックボクシング世界王者スーパーレックとの激闘の末に敗れた。試合後には引退を示唆。 太腿と腕の筋断裂や、膝の骨折など激闘の代償も大きかったが「負けてもずっと信じて、武尊が世界最強になってくると信じて、応援してくれるファンの方たちがいるからまたリングに立てる」と再起を決意した。 9月にミャンマー・ラウェイ出身のタン・ジン(ミャンマー)にダウンを奪われながらも逆転2RKO勝利を飾り、涙のONE初勝利を飾った。 ONE初勝利の一戦は「ダウンを取られているので、そんなに自分では評価はできないですが、2R以降は自分の戦いができたと思うので2R以降で言ったら70点ぐらい」と自身を評価した。 「1R目は、相手が結構一発がある選手だったので、色々攻撃を警戒していました。特にローキックでその前の試合で足を怪我したので、そのイメージが強くあって、結構下に意識が行ってしまいました。最初のダウンもやはり、下に意識が行き過ぎて、パンチをもらったというのがあります。でもそこからはいつも通りの戦いに戻れた感覚で。2Rからは、倒し返さないと勝てない状況だったので、もう倒しに行くしかない感じで戦えていました。気持ちを切り替えて上手く勝てた感じです」と再起戦を振り返った。 試合後にはロッタンがリングに上がって、額と合わせるにらみ合いを見せると場内は最高潮に盛り上がった。「あの時はもう“やっとコイツと戦える”っていうそれだけの喜びでした。もしあの試合で負けていたら対戦はないと思うし、自分も終わりかなと思っていたんで、ロッタンと戦えることへの喜びだけでした」と待ち望んだ瞬間だったようだ。 武尊から見たロッタン魅力は、唯一無二の戦い方と本当の強さだという。「試合を見てなかなか熱くなれる選手って少ないと思うんですけど、僕はあの選手だったらすごい熱い試合ができるなっていうのを見て感じました。同じ階級で世界の頂点を極めている選手で、あれだけ噛み合う選手はいないと思うので、僕からしたら戦いたい理由でもあるし、魅力でもあります」と説明した。 その上で「肉体が凄く強い選手だと思います。打たれ強さだったり、体の芯の強さみたいなのが凄くある選手。その一方で細かい技術やディフェンスの巧さもある。そこが強さの理由だと思います。アグレッシブだと思うのですが、意外と細かい技術使っていたり、意外と丁寧だったりとか、何も考えずに打ち合う選手じゃない。最近の試合を見ると、アウトボクシングみたいな戦い方もできているし、ヒット&アウェイみたいなこともできる。そういうところもできる普通に上手い選手だと思います」とロッタンの強さや戦い方を分析した。 そして自身のファイトスタイルとの共通点も多い。「本当に気持ちだけ殴り合っているだけだったら、多分世界は獲れないし、これだけの結果を残せないと思います。ロッタン選手も凄いバチバチやっているようで高い技術のある選手だと思います。僕も自分で言うのもあれですが、何も考えずにいつも殴り合っている訳じゃなくて、しっかりと技術を磨いて、その上で自分が得意な所で打ち合いだったり殴り合いっていうのをやっています。そういう部分では凄く似ている選手だと思います」と語った。 ロッタンは9日にタイ・ルンピニースタジアムで開催される「ONE169」でジェイコブ・スミスと対戦する。本来はロッタンが保持していたONEフライ級ムエタイのベルトを懸ける一戦だったが、計量失敗で王座はく奪となった。武尊も現地観戦予定だと明かした。 最後に「ロッタン選手がしっかりと勝ってくれたら、試合は実現すると思います。ONEの過去イチ最高のベストバウトにして必ず勝ちます」とファンにメッセージを送った。 《ONEデビュー戦での敗戦で気づいたコンディション作りの“変化”》K―1のリングでは勝ち続けてきた武尊。しかし最高のコンディションで臨んだスーパーレック戦で敗れて、色々考えさせられることがあったという。「怪我もありましたし、試合前も本当にオーバーワークで動けなくなったりとか体調を崩したり色々とありました」と告白した。 その敗戦で「これじゃダメなんだな」と気づいて調整方法を変えたという。「いつもと違う調整方法にして、ちょっとずつですが、自分に合うやり方が作れてきたのかなと思っています」と話した。