被災地・輪島港のカニが初の水揚げ 近江町市場にも多くの購入客で賑わう
■輪島のカニが少しでも高い値段で競り落とされてほしいと願う 漁協の職員らがセリの準備に追われるなか、この日を人一倍気にかけていたのは、震災を機に県漁協輪島支所からかなざわ総合市場へ異動してきた伊吹拓也さんです。 伊吹拓也さん「ちょっと感慨深い感じですね。漁が出ないと思っていたので、出て良かったです」 輪島では経験できない規模の大きな競りの準備作業に追われながらも、輪島のカニが少しでも高い値段で競り落とされてほしいと願います。 ■最高級ブランド「輝」の認定は? 「9時過ぎになり、輪島港のズワイガニの初競りが始まっています」 県漁協によりますと、この日、競りにかけられたオスの加能ガニは1万6000匹あまり。輪島で水揚げされたものは例年より高めで競り落とされたということです。ただ、最高級ブランド「輝(かがやき)」の認定はお預けに 一方、メスの香箱ガニは初日に運び込まれたおよそ18万匹の中から2匹が最高級ブランドの「輝姫(かがやきひめ)」に認定されました。2匹についた値段はそれぞれ4万円。 2023年の初値の5万円には及ばなかったものの、関係者にとっては、無事に漁を迎えた喜びの方が大きかったようです。 ■競り落とした山岸さん「もう嬉しいですね、嬉しいの一言です」 競り落とした上島商店・山岸礼さん「最初から落とそうという気持ちだったので。もう嬉しいですね、嬉しいの一言です」 無事に初競りを終え、輪島出身の伊吹さんも地元に思いを寄せます。 伊吹拓也さん「これだけ注目してくれて有り難いです。輪島は…早々に復興はしてほしいですけど…前向きになれれば(気持ちが)上に、だんだん上がってくれればいいと思います」 ■近江町市場ではカニ汁を格安で提供 近江町市場カニ鍋コーナーの係員「輪島から香箱ガニを用意しております。どうぞお召し上がりください。宜しくお願いします」 初物が店頭に並んだおとといの近江町市場では、カニ汁が格安で提供されました。
客「漁に出られないときがあったと聞いて食べててありがたみをさらに感じます」「まだ復興が進んでいないんですよね。少しでもお力になれればと思います」 元日の地震から10か月あまり。待ちわびた日本海の冬の味覚には、多くの水産関係者のなりわい再生への思いが込められています。
北陸放送