スーパーで買ったパイン 3年目で開花、収穫へ 温暖化で南国果物栽培「うれしいけど心配」/兵庫・丹波市
遊び心から南国のフルーツを育てている兵庫県丹波市柏原町の上田忠雄さん(82)のビニールハウスで、初めてパイナップルが実を付けた。このほど赤い花穂が現れ、紫色の花が咲いた。「なんてきれいな花。栽培しているから見られた」と喜んでいる。9月末か、10月初めに3つ収穫できる予定。 地球温暖化の影響で、「兵庫でも南国の果物が育てられるのでは」と見当を付け、2017年からハウス内でバナナを栽培。21年に初収穫でき、次の目標をパイナップルとした。 同年にスーパーで買ったパイナップルの「冠芽」(果実上部の緑色をした葉のような部分)を鉢に植えた。酸性土壌になるよう鹿沼土などでコントロールし続けた。苗を植えて栽培する沖縄では2年目に収穫するが、一向に結実しなかった。 3年目の今年4月、1株は地植え、他の株は鉢から一度出し、根をほぐしてやった。これが奏功したのか、6月には地植え株が多肉植物が紅葉するように葉の中心部が赤色に染まり、果実になる部分が盛り上がり、紫色の花を咲かせた。 鉢植えの2株も8月中旬に開花。先行する地植え株の果実は濃い緑色で固く、秋にかけて熟していく。 「冬は2重のビニールで覆っているが、ヒーターを入れてはいないので、寒くて駄目かと思っていた」と上田さん。「収穫した果実の冠芽を植えたら、収穫し続けられるのかな。栽培するこっちの元気が、先になくなるけれど」と笑っていた。 ハウス内で育てていたアップルマンゴーは枯れ、残るはドラゴンフルーツ(サボテンの果実)。バナナと同時期から育てているが、花が咲くそぶりもない。「温暖化をきっかけに南国果物の栽培を始めた。できてうれしいが、暑い日が多く、いろいろ心配」と話している。