「コロナ明けの特需は一巡した」 ワールド鈴木社長、百貨店ブランドのMDを再設計
ワールドの2024年2月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が2023億円、コア営業利益が135億円、純利益に相当する当期利益が67億円だった。当期から決算期変更(3月期から2月期)により11カ月決算となったが、全ての利益項目において、通年決算の23年3月期以上の数値で着地した。参考数値として、23年3月期は売上高2142億円、コア営業利益135億円、当期利益56億円。
主力のブランド事業の売上収益は1754億円、コア営業利益は97億円。期初計画は達成したが、「ブランドによって収益成長力の濃淡がついた1年になった」と鈴木信輝社長。「オペークドットクリップ(OPAQUE.CLIP)」「ザ ショップ ティーケー(THE SHOP TK)」など主にショッピングセンター向けのミドルロワーブランドは、23年3月期(通年決算)との比較でも、コア営業利益が9億5700万円の増益だった。「セレモニー用途だけでなく普段使いもできるなど、商品に一歩踏み込んだ価値付けができていた。バッグなどの雑貨を含めたトータルでのコーディネート提案やコラボによる話題作りも効いていた」と手応えを話す。
一方、「アンタイトル(UNTITLED)」「インデイヴィ(INDIVI)」など主に百貨店に出店するミドルアッパーブランドは、コア営業利益が23年3月期(通年決算)との比較では同9億5000万円の減益と、ミドルロワーブランドと比較すれば伸び悩んだ。「昨年のコロナ禍明けでセレモニー需要が高まったことから、今期はさらなる売上高拡大を狙ったが、商品供給のバランスが偏りすぎてしまった」と反省の弁。「コロナ禍明けの特需はすでに一巡した。本当の意味でのニューノーマルが始まっている。新しい生活者のニーズを捉えたMDの再設計が必要だ」。
他の事業セグメントも着実に利益を残した。デジタル事業のコア営業利益はブランド古着の「ラグタグ」、高級バッグサブスクの「ラクサス」の好調などにより、前期比31%増の11億円。プラットフォーム事業のコア営業利益は同4.5倍の6億1000万円だった。