大阪商議所が「女活のススメ」を発行 ── 女性の活躍推進成功企業の事例集
子育て中の短時間正社員がバリバリの部長職
製造業のクリロン化成(大阪市東淀川区)は、パート社員を悩ませる「130万円の壁」を補助制度で解消し、パート社員の戦力化に成功している。 年収が社会保険の扶養範囲から外れる130万円を超え、社会保険料の負担が発生したパート社員に対し、本人が負担すべき保険料に相当する分を、会社が時給に上乗せして支払う。パート社員は「130万円の壁」を気にすることなく存分に働けるため、モチベーションが上がり、会社の業績向上に貢献している。 卸売業のワンゲイン(大阪市浪速区)は従業員10人のうち、9名が女性。午前9時半から午後3時半までの短時間勤務を選択できる短時間正社員制度を導入し、女性社員が子育てと仕事を両立しやすい職場環境を醸成。営業統括部長の重責も、子育て中の女性短時間正社員が担っている。 情報通信業のプロアシスト(大阪市中央区)は、対話重視の社風を貫く。人気レストランと年間契約し、社員の誕生会や定例会議後の食事会を開催。業務とはかかわりの薄いことでも話しやすい環境がさりげなく整う。地方出身の社員に対しては、生駒京子社長自身が地方まで出向いて実家を訪問。両親らに社員の近況報告をすることで、家族との一体感も培っている。
女子社員の4割がママさん社員
大阪市が主催し、同会議所が共催して開催された「女性の能力を活用した新たな市場創造について考える」フォーラムで、参加者に「女活のススメ」を配布し、同研究会活動の成果が報告された。 松井さんが紹介事例から得られる「女活成功のひけつ」と「女活の留意点」を、3点ずつ挙げた。女活成功のひけつを、「制度も社風も充実」「男性上司を巻き込んだ育成研修」「適性を生かした職域拡大」と指摘。「女活の留意点」として、「トップの決意と活動継続の仕掛け作り」「待機児童問題の解消」「働き方改革の推進」を呼びかけた。 続いて、「女活のススメ」で事例紹介されているマンダム(大阪市中央区)の西浦けい子人事部主幹が、自社の取り組みを説明。産休取得者と上司、人事部による産休前三者面談を導入したところ、コミュニケーションが促進され、産休後の復職が円滑になった。今では女子社員のうち、子育て中のママさん社員が4割を占めるようになったという。 西浦さんは「他社の事例が役立つことがあります。大阪の会社同士で連絡を取り合い、知恵を集めていきましょう」と、女活情報の共有を提唱した。会場では参加者が配布された「女活のススメ」に熱心に見入っていた。 女性の活躍推進こそ、すぐれた成長戦略のひとつ。生活シーンでの「大阪のおばちゃん」のたくましさや対話交渉能力は群を抜く。「大阪女子」の潜在的パワーをうまく引き出して、大阪経済の成長エンジンにしたいものだ。 「女活のススメ」は大阪商工会議所人材開発部研修担当(大阪市中央区本町橋)と、OSAKAしごとフィールド(大阪市中央区北浜東)で、無料配布しているほか、同会議所の公式サイトからダウンロードできる。詳しくは同会議所の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)