ボス、先生と呼ばれたリーダー逮捕…職業不詳の32歳、詐欺師たちの給料を管理 闇のグループ解体、さらに全容解明へ もう一人のリーダーも逮捕、金銭を回収していた27歳
カンボジアを拠点とした特殊詐欺グループに関与したとして、これまでに受け子やリクルーターが逮捕されていた事件で、埼玉県警組織犯罪対策(組対)3課と草加、吉川署の合同捜査班は20日までに、同グループのリーダーとみられる男ら2人を詐欺の疑いで逮捕、送検した。事件の継続的な突き上げ捜査で上位被疑者の摘発にこぎ着け、県警はグループを解体することができたとの見方を示した。 大量の携帯電話の写真 詐欺師だちが水に溶ける紙に情報をメモ、証拠を消すため溶かし塊と化していた
逮捕されたのは、グループのリーダーとみられる職業不詳の男(32)=福岡県小郡市小郡=と、指示役とみられる無職の男(27)=北九州市八幡西区筒井町=の2容疑者。 逮捕容疑者は氏名不詳者らと共謀し、昨年12月12日午前8時ごろから数回、横浜市の女性(75)方に長男を名乗り「大事な書類をなくした」「今日中に3千万円が必要」などと電話。同日午前11時半ごろ、女性方付近の路上で、長男の同僚を名乗り女性から現金102万円をだまし取った疑い。2人はいずれも容疑を否認しているという。 捜査班は今年1月、横浜の被害女性に対する特殊詐欺事件で、かけ子や受け子、リクルーターとして関与した男5人を詐欺容疑で逮捕。押収したスマートフォンなどの捜査から32歳男と27歳男が浮上した。2人は福岡県内の飲食店で接触していたことが確認されていたという。 32歳男はカンボジアに滞在し、グループの中で「ボス」「先生」などと呼ばれ、構成員の給与管理などを行っていた。27歳男は日本国内で「わたなべ」などの偽名で、リクルーターに対して受け子の報酬や回収した詐取金の搬送先などを秘匿性の高い通話アプリで指示していた。27歳男は別の特殊詐欺事件に関与したとして、警視庁に指名手配されていた。
グループでは、実行役が逃走しないよう、交流サイト(SNS)の募集で採用された人物には顔写真や自宅の写真などを送信させていたという。捜査班は同グループによる犯行を十数件確認しており、余罪や共犯者の捜査を行い、組織の全容解明を進めている。