「赤紙」に平和の思いを託して 太平洋戦争開戦83年、大阪で訴え
旧日本軍による米ハワイ真珠湾攻撃で太平洋戦争が開戦してから83年となった8日、大阪市天王寺区で、戦争反対を訴えるデモがあった。ウクライナや中東など世界各地で争いが絶えないなか、暴力によらない平和な社会をつくろうと呼びかけた。 【写真】召集令状を模したチラシを配り戦争反対を訴える会員=2024年12月8日、大阪市天王寺区上本町6丁目、岡田真実撮影 平和運動などに取り組む「大阪母親大会連絡会」の会員ら約40人が、徴兵制があった戦時中の召集令状(赤紙)をイメージした、戦争反対を訴えるチラシを通行人に配った。 連絡会の委員長、松永律さん(76)は「この赤紙1枚で大切な息子、夫、恋人であった若者が強制的に戦地に行かされ命を奪われた」と話し、「赤紙に託した私たちの平和への思いを受け止め、家族・知人と平和や命について語り合っていただきたい」と訴えた。 元高校教諭の長尾ゆりさん(69)もマイクを握った。長尾さんの伯父は20代のとき、沖縄戦で命を落とした。沖縄戦などで犠牲になった人々の名前を刻んだモニュメント「平和の礎(いしじ)」(沖縄県糸満市)に名前はあるものの、亡くなったときの状況はわからず、遺骨は見つからないままだという。長尾さんは「武力ではなく、話し合いで解決することを示す憲法9条にこそ希望がある。戦争を起こさないために声を上げましょう」と呼びかけた。 1975年から続けている開戦の日に合わせた活動だが、この日は会員がチラシを差し出しても受け取らない人の姿が目立った。 長尾さんは「初めて参加した20年前のほうがもっとチラシを受け取ってくれた」としたうえで、「教え子を再び戦争に送りたくないという気持ちで行動し続けてきた。来年も変わらず参加したい」と話した。(岡田真実)
朝日新聞社