「帰れ!帰れ!」「斎藤!斎藤!」聴衆同士の小競り合いも…勝因はSNSの広がり 異様な選挙戦の裏側 陣営のボランティアは2900人、動画を1日100本超配信 兵庫県知事選で斎藤氏が再選
読売テレビ
17日投開票が行われた兵庫県知事選挙は、議会で全会一致での不信任を受け、出直し出馬した斎藤元彦前知事(47)が再選を果たしました。苦戦が予想されたなかで、勝利した背景を取材しました。 再選から一夜明け、感謝の言葉を述べた斎藤元彦 前知事。 再選した兵庫県前知事・斎藤元彦 氏 「大変厳しい状況からのスタートでしたので、多くの県民の皆さんのご支援を得て、昨日当選させていただきました。(選挙戦を)皆さんの力を借りて再選させてもらったことをうれしく思います。若者から高齢者の皆さんまで、新聞・テレビ・YouTube・Xなどいろんなものを見て、県民の皆さんが自分自身でいろんなものを調べて判断される選挙だったと思います」 有権者は… 「びっくりしました。私は違うかなと思っていたので」 「良かったなと思っています。(YouTubeなどを見て)感情が180度変わってしまった」 「(ネットを)見ましたね、さすがに。選挙気持ちいいなって」 「なんとも言えないですね。当選されてどういう兵庫県をつくってくれるのか楽しみにしています」 兵庫県前知事・斎藤元彦 氏 「おはようございます」 県議会から全会一致の不信任を受け、当初苦戦するとみられた斎藤氏。選挙戦は、政党からの支援はなく、地元の駅で1人きりでのスタートとなりました。 こうして始まった選挙戦は、徐々に異様なものに。 NHK党党首・立花孝志 氏 「すごく変則的ですが、当選を目的としない選挙に今回は臨ませていただいています」 発信力のあるNHK党の立花氏が選挙戦に立候補したうえで斎藤氏の支援を打ち出した異例の戦略や、SNSなどネットでの支持が追い風となっていきます。 選挙終盤には、聴衆同士が小競り合いすることも…。 「じゃますんな!帰れ!」 「帰れ!帰れ!帰れ!」 そして最終日。斎藤氏の演説に集まったのは、見渡す限りの人、人、人。 「斎藤!斎藤!斎藤!斎藤!」 再選した兵庫県前知事・斎藤元彦 氏 「今回はSNSを通じて、いろんな広がり、SNSのプラスの面をすごく感じたところです。本当にありがとうございます」 大逆転でつかんだ勝利。斎藤氏が大きな勝因として挙げたのは「SNSでの支援の広がり」でした。 選挙戦の開始当初、優勢と見られていたのは前尼崎市長の稲村和美氏です。 斎藤氏の猛追撃をかわしきれず、午後8時の投票終了から約40分後には… 落選した稲村和美 氏 「ご期待に沿えなかったこと、お詫び申し上げます」 異様な熱を帯びた戦いを振り返って口にしたのは、ある種の“違和感”でした。 落選した稲村和美 氏 「斉藤候補と争ったというより、何と向かい合ってるのかなという“違和感”があったのは事実です。何を信じるのか、どのような情報に基づいて投票行動を決めるのかについて正直、課題が残った選挙戦だったのではないかと…」 一部、自民県議らの支援を受け、兵庫県の市長会の有志22人も支援を表明。 相生市・谷口芳紀 市長 「“悪いやつ”を兵庫県から追い出して、新しい風を入れる人は誰やと言ったら、稲村や!!」 組織的な応援を取りつけた”昔ながらの選挙戦”と、SNSを駆使した戦略が対決する構図になっていました。 斎藤氏が沿道に姿を見せると、集まった人たちがこぞってスマートフォンを掲げる姿が…。斎藤陣営は、こうした盛り上がりや演説の様子を生で配信。 告示直後の11月初旬には10万人ほどだったSNSのフォロワー数は急速に拡大し、投開票日には約2倍の20万人以上になっていました。 神田貴央 記者 「斎藤陣営の演説が終わってから約1時間が経ちました。X上でも、演説の様子が続々と上がり始めています」 連日、Xでは「#斎藤元知事がんばれ」などのハッシュタグが飛び交い、支援の輪を“拡散”させていきました。 街頭演説の聴衆は日を追うごとに多くなり、うちわなどを持って応援する人や、Tシャツにサインを求める人、泣きながら握手する女性も。 投開票日の直前に誕生日を迎えた時には…。 「おめでとう!」 SNSを突破口にした戦略を支えたのは、動画などを投稿するボランティアスタッフです。 斎藤陣営のボランティアスタッフ 「(ボランティアは)現在2900人が登録しています。現場のボランティアが500人。LINE上にアップされた動画・素材を自由にデジタルボランティアの人が編集して自由に配信する。それによって1日100本以上の動画が配信されていく。女子高校生や中学生が斎藤さんを知っているのは、TikTokの影響があるのかなと…」 一方の稲村氏もSNSを活用しましたが、フォロワー数は1万5千人にとどまっています。 少しの風は嵐となり、ネットの広がりが現実世界に結びついたとみられる今回の選挙。告発文書をめぐる問題が続く中、県政の正常化が今後の焦点となります。