精神疾患は予防と早期治療が大切な理由をご存じですか? 心の不調のサインも解説
心の健康・メンタルヘルスケアのためにできる予防方法とは? うつ病など精神疾患に気付くサインはある?
編集部: 具体的にどんなサインに気づけば良いのでしょうか? 森田先生: 一例として、気分や感情の変化に注意するようにしましょう。以前に比べて「イライラしやすくなった」「気分が落ち込みやすくなった」といったことには注意が必要です。 また、「感情の起伏がなくなる」ということもあるかもしれません。それから食欲や睡眠の変化にも注意しましょう。 「食欲が低下した」「眠れなくなった」ということもあれば、「食欲が止まらない」「どれだけ寝ても足りない」ということもあるでしょう。こうした変化に注意するようにしましょう。 編集部: ほかに、どんな点に注意すれば良いでしょうか? 森田先生: 「朝なかなか起き上がれない」「お風呂に入れなくなった」「食事をするのが面倒になった」「忘れ物が多くなった」「他人の愚痴やネガティブな話を受け付けなくなった」など、行動に変化が見られるのも要注意。 それから、「操作ミスが増える」「判断ミスが多くなった」など、判断力が低下するのも注意が必要です。これらは精神疾患の初期症状として多く表れるものです。 編集部: なるほど、さまざまな症状が出るのですね。 森田先生: それから、「気持ちが悪い」「めまいがする」などの不定愁訴があるにも関わらず、内科や婦人科を受診しても、異常が見つからない場合もあると思います。そのようなときは、「もしかしたらメンタルの不調かも……」と考えてみることも大切です。 編集部: そのような状態がどれくらいの期間続いたら、受診した方が良いのでしょうか? 森田先生: 目安としては2週間程度と考えて良いでしょう。ただし、その影響で日常生活や仕事に支障が生じている場合には、早めに相談した方が良いかもしれません。また、自分では問題ないと思っていても、家族や上司に受診を勧められることもあると思います。 そのような場合には素直に受診するようにしましょう。病気が見つからなくても、より良い仕事や生活を実現するためのアドバイスがもらえるかもしれません。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。 森田先生: 精神科で処方する薬剤は、1995年くらいから革新的に良くなっています。昔ほど、薬による副作用も出なくなっていますし、うつ病や統合失調症などを経験しても結婚や出産、仕事などをきちんとできる人が増えています。 「本当は、自分はこうしたいのにできない」など、日常で何か困っていることがあれば、気軽に精神科を受診してみてください。特に、子育てや介護などで困っている場合には自治体が提供しているサービスなどへお繋ぎすることもできます。 悩みは一人で抱えず、困ったことがあったら気兼ねなく精神科に相談してみてほしいと思います。