日本は“マナー大国”?謎マナー乱立の理由をマナー講師に聞いた
オンラインでのコミュニケーションマナーとは
こうしたオンライン会議における「謎マナー」のほかにも、Mさんが気にかけていることがある。それは、部下とのコミュニケーションだ。 Mさんは、この4月から新人育成の一環として業務のトレーナーも務めることになった。マイクロソフト社のアプリTeamsを利用し、ファイルを共有しながら講義を進めているのだが……。 「礼儀正しくて真面目なんだけど些細なことながら気になるところがあるんです。でも直接会っているわけではないので指摘しづらいんですよね。細かいことかもしれませんが、日によってカメラをオン・オフするのが気になってます。お化粧が間に合わないとか、理由があるんだとは思いますが、そこも突っ込みにくい時代です……」 Mさんは「チームメンバーと話す際は、カメラはオンにすべき」だと考えている。 「私が古いんですかね。声だけでは相手の気持ちがつかみきれないから、せめて顔を見ながら話したいと思ってしまう。コロナ以前なら、ふと世間話をして距離を縮めることができたんですけどね……」 仕事上のオンラインでは、カメラをオンにすべきである。さて、これは新たに生まれたマナーだろうか。それとも、謎マナーの一環なのだろうか?
マナー講師とは?
「謎マナー」をネット検索すると、「マナー講師」というワードも併せて出てくる。ネット上では「失礼クリエーター」と揶揄される声も見受けられる。だが、謎マナーの作り元がマナー講師という判断は早計だ。「マナー」という言葉にアレルギーを持つ一部の人々が二つをひもづけているようで、マナー講師側も困惑しているという。 現在日本にはマナーを伝える協会やスクールが複数あり、それぞれが独自の認定資格を設定。名乗るために必ずしも資格が必要なわけではないが、多くのマナー講師は各認定試験を受けており、それぞれの流儀を持つ。CA、ホテル出身者が多く、2010年に日本航空が経営破綻した際は、マナー講師に転職すべく、元CAの受験者が増加したという。 企業が求めるマナー研修は、ビジネスマナー、接遇マナーが中心。正しい話し方、メールの書き方、クレーム対応からハラスメント防止策まで、その内容は多岐にわたる。コロナ禍の今、Mさんが悩むオンライン上のマナーについても講義の機会が増えている。