出生数70万人割れの衝撃! ネットで溢れる「子どもはリスク」「子どもは無理ゲー」が示す暗い未来
《こうなることは分かっていた。だって自分が今、第一子や第二子を持つぐらいの年だから》《必然だよね。私はすでに子供どころか、結婚すら考えていない》 【写真】島根・丸山知事が小泉進次郎氏の「解雇規制緩和」に異論、“親子2代で雇用を非正規化”のド正論を裏付ける数字 SNS上は衝撃や驚きといった声よりも、冷めた意見の方が少なくない。 厚生労働省が5日に公表した人口動態統計(概報)で、2024年上半期(1~6月)に生まれた赤ちゃんの数が前年同月比6.3%減の32万9998人となり、年間出生数が初めて70万人割れする可能性が高くなった、と報じられたことに対する反応だ。 厚労省の資料によると、出生数は1949年の269万6638人をピークに増減を繰り返しながら緩やかに減少。第2次ベビーブームの1973年(209万1983人)以降は右肩下がりの状況が続いている。 2022年の第1子出生時の母親の平均年齢は30.9歳。この年齢を単純に当てはめると、24年に子供を産んだ親が生まれたのは出生数が120万人前後で推移していた1990年代前半だろう。 父親の年齢もおおむねその前後とみられ、いわゆる就職氷河期といわれた年代からは少し外れるものの、規制緩和の名のもとに拡大された非正規雇用によって、雇用の不安定化や低賃金といった格差拡大を実感している人たちだ。 ■94年に少子化対策(エンゼルプラン)を策定してから出生数は4割余りも減った 都内在住で建造メーカーに派遣社員として働く木島隆さん(36=仮名)もこう言う。 「私たちの同期世代は100万人ぐらい? いたでしょうか。でも、学校を卒業したら就職難だった。仕方なく非正規としてクビに怯えながら働き、気付いたら年だけ取っていました。手取りも増えず、出産どころか結婚すら考えませんでした。周囲にも同じような人がたくさんいます」 村山政権が育児休業給付や保育所の整備などを重点政策とした「エンゼルプラン」を策定し、少子化対策に乗り出したのは1994年だった。当時の出生数は124万人だから、この30年間で4割余りも減ったことになる。つまり、政府はこれまでの間、何ら有効な少子化策を打ち出せなかったわけだ。 少子化の要因として挙げられるのはやはり、伸び悩む収入と負担が増す支出だろう。 財務省によると、個人や企業などの所得に占める税金と社会保険料の負担割合を示す「国民負担率」は46.1%。つまり、年収の半分ほどが黙っていても“消える”上、物価高や燃料高で実質賃金は増えず、子どもを持てばさらなる教育費負担増となるだろう。裕福な人であればともかく、この状態が続くようであれば、出産どころか結婚に対して腰が重くなるのも無理はない。 「子どもはリスク」「子どもは無理ゲー」……。ネット上でこんな言葉が当たり前のよう交わされるようになった今、果たして出生数が増加に転じる時代は訪れるのだろうか。 ◇ ◇ ◇ 減少が続く出生数。●関連記事【もっと読む】《島根・丸山知事が小泉進次郎氏の「解雇規制緩和」に異論、“親子2代で雇用を非正規化”のド正論を裏付ける数字》【さらに読む】《出生数初「80万人割れ」の衝撃…ミサイル400発購入に「人の命を奪う予算先行か」と国民怒り》などを取り上げている。