トランプが政権人事で「共和党エリート」たちを次々と粛清…!「ほめ殺し」の末に追放されたポンペオ元国務長官の「悲惨な末路」
地獄への逆落とし
そして、2022年のバイデン・ハリス政権による在アフガニスタン米軍の撤退失敗に触れて、「マイク・ポンペオと私は一緒に(しっかりとした)撤退計画を立てていたんだ。なのに、バイデン・ハリス政権は撤退前にやるべきことを完了せずに撤退しようとして失敗したんだよ」と聴衆に説明した。 この時、ポンペオ元国務長官は天にも昇る気持ちであったかも知れない。元の上司であるトランプ候補が、ポンペオ氏の能力を高く評価し、一緒に仕事をしたことを誇りにしていると示唆したからだ。ポンペオ氏はこのところ、ワシントンで「自分はトランプ氏が返り咲けば、国防長官に取り立ててもらえるかもしれない」と触れ回っており、多くの聴衆の面前でのトランプ氏からの賛辞に「本当に起用してもらえるかも」と心躍ったことだろう。 ところが、である。 あにはからんやトランプ次期大統領は当選早々、「ポンペオは起用しない」とわざわざ全世界の前で宣言し、「MAKE AMERICA GREAT AGAIN!」で締めくくった。 「お前は米国第一主義ではないから、共和党にはお呼びでない」と言ったのも同じだ。 「たちまち地獄への逆落とし」である京ことばのえげつなさは、ここにある。 ポンペオ氏は、トランプ次期大統領が阻止を誓う日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収の交渉円滑化の切り札として、7月に日本製鉄により顧問に起用されていた。「共和党と民主党の両陣営から尊敬されている」ことが理由だが、当のポンペオ氏がトランプ次期政権に排除された以上、何の影響力も持ち得ないだろう。ご破談である。
居場所を失う「共和党エリート」たち
いずれにせよ、この先の共和党内でヘイリー氏とポンペオ氏や、同様のグローバリスト・ネオコン思想を持つエリートタイプは居場所や影響力がなくなる。 共和党の次期上院院内総務に選出されたジョン・スーン上院議員など自由貿易や国際協調を好む穏健な「制度派」は、選挙で示された「トランプへの信託」という明確な民意を前にトランプ次期大統領と派手にケンカがしにくく、言われるがままに承認する場面が増えると思われる。 労働者層や黒人、ヒスパニック系、アジア系、アラブ系などの大量流入が続き、能力のある米国第一主義(MAGA)の人材が育つ新しい共和党では、グローバリストやネオコンたちは今回の大統領選でトランプ候補を応援して票を入れた後は用済みなのだ。 トランプ次期大統領のSNS人事は、「グローバリストやネオコンのお方らは民主党でも第3勢力でもお好きな場所へ行っておくれやす」という意味であり、共和党の変革の「完了」を高らかに告げるものとなった。 しかし、トランプ氏の言葉が変わった背景には、狡猾な情報発信のシステムが確立されていることがうかがえる。それは何が目的なのか。彼の発言を読み解いていくと、彼の本当の狙いがうきぼりとなる。 後編記事『トランプを操る女性の存在が…!「SNS人事」のウラでポンペオ元国務長官の追放を主導した「猛獣使い」の正体と、アメリカ中枢ではじまる「復讐の嵐」』で、じっくりと紹介していこう。
岩田 太郎(在米ジャーナリスト)
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