闇バイトで加担6人 特殊詐欺で摘発 富山県警、1~11月
●10~40代「金に困って」 富山県警が今年1~11月に特殊詐欺事件で摘発した16人のうち、約4割の6人が交流サイト(SNS)の情報に応募した「闇バイト」だったことが17日、県警組織犯罪対策課への取材で分かった。6人は10~40代で、1人が県内在住だった。いずれも「お金に困って闇バイトに手を出した」という趣旨の供述をしており、県警は高額報酬をうたって実行役を集める手口に警戒を強めている。 9月上旬に富山市の80代女性からキャッシュカードを盗んだとして、富山中央署に逮捕された都内の18歳の男は、10月下旬に再び実行役として富山市を訪れたところ、富山駅周辺で警戒していた捜査員から職務質問を受けて身柄を確保された。 「闇バイト」としてSNSで実行役を募り、詐欺や強盗などを繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ」(通称トクリュウ)の犯罪が全国で続発していることを受け、富山県警は県内で発生した特殊詐欺事件を対象に容疑者が犯行に関わった経緯をまとめた。 県警によると、闇バイトの6人は、いずれも「受け子」「出し子」と呼ばれ、被害者から金を受け取ったり、盗んだキャッシュカードで金を引き出したりする組織末端の役割を担っていた。 捜査関係者によると、簡単に金を稼ぎたいといった安易な気持ちで「闇バイト」に応募する人が大半だという。いったん詐欺や窃盗といった犯罪に関わると、組織に個人情報を握られているため、何度も実行役として利用される。 ●大学で防犯講座「罪変わらず」 「捕まるのはまれ」「ホワイトグレーの案件」。闇バイトに応募した人物と詐欺グループの一人のこんな電話の生々しいやり取りが11月15日、富山国際大の講義室に流れた。県警が闇バイトの誘いから若者を守るため、大学で開いている防犯講習会の一場面である。 県警組織犯罪対策課の横山武彦次席は、「罪の重さはバイトであっても変わらない。警察は必ず捕まえるし、厳罰が下される。絶対に加担しないでほしい」と呼び掛けた。