奥行き30mの細長い室内に「通り庭」を。建築家が考えた新発想の動線空間
奈良県にある、印象的な外観が目を引くこの住まいは、大阪を拠点に活動する建築家・木内菜津子さんが手掛けました。「庭は不要だが開放的な家」というクライアントの要望に応え、奥に長い敷地を生かし室内に開放的な光が入る通り庭を実現。建築家ならではの発想をみることができます。 【写真集】室内に通り庭。奥に長い敷地を生かした建築家・木内菜津子さんのアイデア
通り庭が南北を貫く建物の敷地は、間口約7.9×奥行き33m。外観は閉じた印象ですが、内部は天窓の光により塗り壁の質感が浮かび上がるおおらかな空間が連なります。 住み手の子供たちは自立しており、家への要望は「庭は不要だが開放的な家」「奥さまが料理教室に使う地域に開かれた空間」「2階を生活の場に」と簡潔。これらを汲み、建築家の木内菜津子さんが編み出したのは、奥に深い敷地を生かす“動線空間”という考え方でした。 「外を引き込む長い動線を考えました。建物を貫く通り庭のような吹き抜けの動線空間を据え、その動線上にパブリックスペースから2階の寝室までを序列的に配しました。床レベルが変わることで、街との距離感や開放性がグラデーショナルに変化していくプランです」
スロープ状の通り庭を進み、階段を下りれば土間のフリースペース。階段を上がり、2階の内玄関から折り返すようにLDKと寝室が続きます。 通り庭とつながった気積の大きな空間は、天窓から差す光でより生き生きとした表情に。室内の“庭”が非日常の景色をもたらす、移ろう自然を楽しむのびやかな住まいを実現しています。