〈年金16万円・80歳のおひとり様女性〉常連のレストランに2週間姿をみせず、〈海外在住の52歳ひとり娘〉が緊急帰国…実家のドアノブをみて確信した「最悪の結末」
お母さん、最近お店に来ないけど…常連店のマスターから電話
その後、恵美子さんは海外留学を機に知り合った男性と結婚。この結婚も母の後押しがあり、決断をしたといいます。 ――結婚をしたら、私はアメリカに。でも母をひとり日本に残すのは心配で、結婚に躊躇していたんです。すると母が「結婚しなさい。海外に遊びにいく口実ができて、そのほうが親孝行よ」と 以来、1年に1回、恵美子さんが帰国するのと、恵美子の母親がアメリカに遊びに来るのが定番。それは母親が70代となり、飛行機での長旅が大変になるころまで続いたといいます。母がアメリカに来ることがなくなると、さらに心配は募ります。 まず心配なのはお金の心配。それに対し「持ち家で、年金が月16万円もあるのよ。余るくらいよ」と恵美子さんの母。さらに心配なのが、やはり健康のこと。本当に元気かどうかは電話だけではわからず……そこで、恵美子さんも子どもの頃に通った行きつけのレストランのマスターに連絡をして、さりげなく母の動向をチェック。 ――いまも3日に1回は行っていると、母は行っていたので。マスターに聞くのが一番かなと思ったんです ただマスターから返ってくるのは「お母さんは相変わらず元気だよ」といった定番フレーズ。いつまでも元気な恵美子さんの母。だからこそ恵美子さんも安心して海外での暮らしを続けることができたといいます。 そんな生活に異変があったのが、母、80歳のとき。常連のレストランのマスターから「ここ2週間ほど来ていないけど、大丈夫?」と連絡があったのです。それまで3日に1日程度の頻度で訪れていたという母。それが2週間も店に行っていないとは。すぐに母に電話してみましたが留守電。そこで恵美子さんは緊急帰国し実家に直行。そこで最悪の事態を覚悟したといいます。 ――母は几帳面な性格。それなのにポストからは郵便物があふれ、玄関のドアノブには埃がかぶっている……最悪の事態を覚悟しました。 玄関のドアを開け、家に入ると、リビングで倒れている母を発見したといいます。 ――お母さん、来るのが遅くなってごめんね 東京都保健医療局『東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和3年)』によると、2021年、23区で自宅で亡くなった人は8,691人、そのうち1人暮らしは男性が4,130人、女性が1,721人。合計5,821人の人が、自宅で孤独死を遂げました。さらに年齢別にみていくと、65歳以上の高齢者は男性で2,613人、女性で1,350人でした。 また自宅で孤独死を遂げた人のうち、死後2週間以上経った人は単身者で男性で29.0%、女性で15.8%。男性のほうが孤独死したのち、発見まで時間がかかる傾向にあります。これは男性のほうが社会から孤立しやすいという裏返しかもしれません。 [参考資料] 内閣府『令和6年版高齢社会白書』 東京都保健医療局『東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和3年)』