ヨシタケシンスケ 絵本作家デビュー10周年 大切にしていることは「人の意見を聞かない」
■「元気があるうちになにか」今後作っていきたい作品
今年5月、“生きるとは?”をテーマにした自身初の長編絵本『メメンとモリ』を発表したヨシタケさん。節目の年を迎え、今後どのようなテーマの作品を作っていきたいかを聞いてみました。 ――今後はどのような作品を作っていきたいですか? この10年、自分がその時、その時、自分の中で盛り上がっているテーマを本にしてきたんです。今回の「どうやって生きていけばいいんだろう」みたいなテーマは、自分が年を取ったというのが一つの大きな理由なんです。今後例えば年をとる、老化していくとおじいちゃんおばあちゃんになっていくとか、自分の体が思い通りいかなくなってきた時に、どうやって物事を考えていくのかとか、そういうことにどんどん興味がわくだろうし、子供たちが大きくなって、今度独り立ちする時に若者が社会に出ていって、自分がうまく受け入れられない時にどうやって生きていけばいいのかとか、その時その時の自分にとってのニュースというものを、なにがしかの普遍性を持った形で本にまとめていければ、僕はうれしいのかなと思うので、元気があるうちに何かやっていけたらいいなと思っています。
――最新作『メメンとモリ』を読む方にメッセージをお願いします。 読んだ人が「自分の価値観って何だったっけ?」というのを思い出すきっかけみたいになってくれたら一番いいなって思うんですよね。「自分にとって何の変化のきっかけになるんだろうか」みたいな、それも非常におこがましい考えではあるんですけど。この本に書いてあることがすべてじゃないということ、この本を通じて何かイメージしてくれたら一番僕はうれしいですね。この本に書いてないことに俺は気付いているみたいなことに、この本を読むことで気付いてもらえたら、僕にとってはご褒美かなと思いますね。