<p>テヘランで展示されたイラン製ミサイル</p>

（ブルームバーグ）： イランは今後12時間以内にイスラエルを弾道ミサイルで攻撃する準備をしている。米国はその兆候を確認したと、ホワイトハウス高官が明らかにした。

匿名を要請したこの高官によると、米国はこの攻撃に対するイスラエルの防衛準備を積極的に支援している。イスラエル公共放送ＫＡＮは、安全保障関連施設に対するイランの「大規模な」攻撃への準備が進んでいると報道。イランの攻撃では、民間施設が標的になる可能性もあるとの見方を伝えた。

この情報について、イスラエル軍のハガリ報道官は米国から伝えられたことを確認したが、イランから何らかの発射があった形跡は今のところないと説明。イスラエルは防御と攻撃の両方を準備していると語った。イラン外相はコメントの要請に今のところ応答していない。

在イスラエル米国大使館は政府職員とその家族に対し、追って通知があるまで屋内での退避を勧告した。

在イスラエル米国大使館、米政府職員への屋内退避を勧告

イランがイスラエルを直接攻撃すれば、４月に続き２回目となる。４月にイランは数百のドローンとミサイルで攻撃を仕掛けたが、大半はイスラエルと米国、英国などが展開した防空システムにより迎撃された。米国の圧力を受け、これに対するイスラエルの報復攻撃は限定的な規模にとどまった。

米高官はイランの攻撃が４月と同様の規模になるだろうとの見方を示したが、イスラエルは一段と大規模な攻撃を予想していると、同国政府の戦略に通じた関係者が述べた。

イランによる攻撃の可能性が報じられた後、原油価格は４％近く急騰。金と米国債も上昇している。米株式市場では、ノースロップ・グラマンやロッキード・マーチン、ＲＴＸなど兵器メーカーがいずれも下げから切り返し、少なくとも２％高となったが、Ｓ＆Ｐ500種株価指数の下落率は１％を超えた。

中東情勢の緊迫化に伴い、米国は同地域への軍事展開を増強。９月30日には戦闘機部隊を含む数千人の兵士を増派すると発表した。同日遅くに行われたオースティン米国防長官とイスラエルのガラント国防相との電話会談では、「イランがイスラエルへの直接的な軍事攻撃を選ぶ場合の、イランにとっての深刻な結果」が話し合われたという。