神戸のお嬢様、パンダのタンタンが本当に大好きだったものと飼育員さんとの意外な攻防
ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。 【タンタンと過ごした「すばらしい日々」を写真で振り返る】 2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。国内最高齢の28歳でした。いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様・タンタンをしのび、在りし日の日常を振り返りながらお伝えします。
お嬢様の好きなもの
水曜日のお嬢様、13回目(https://gendai.media/articles/-/79888)では、食欲旺盛なお嬢様が紹介されました。運動場にあるニセアカシアの木を背もたれにして、竹をムシャムシャ。このときはモウソウチクとハチクがお気に入りだったようです。 タンタンの一番好きな食べ物は何なのでしょう、飼育員の梅元良次さんによると「薬を与えるときなど、特別な時にあげるブドウも好きですね。香りが強いものを好みます」とのこと。ふだん食べているもので一番好きなのがりんご。次にニンジン、ペレットと続きます。 以前は、パンダ団子もあたえていたそうですが……。「パンダ団子は、作るのに手間がかかるし、栄養価もそれほど高くない。なので、途中からペレットに変えました」(梅元さん)。ペレットはサイズや栄養を考慮して、猿用のものをあげていました。 19歳の誕生日には、もうひとりの飼育員・吉田憲一さんが、昔のレシピからパンダ団子を再現。パンダ館の通路の壁にレシピが掲出されていましたが、材料を混ぜて形を整え、2時間ほど蒸す。かなり手間がかかるもののようです。取材時は2月でしたが、いつも3月中旬には淡河(おうご)からタケノコも入ってきます。お嬢様のまわりには、おいしいものがたくさんですね。
お嬢様のトレーニング
14回目(https://gendai.media/articles/-/80104)は、ちょっと変わった場所でモーニング。取材時の気温は約9度でしたが、寒さに強いお嬢様は、食べ終わったら、のんびりお散歩タイム。 その肩のあたりに気になる毛ぞりあとが。こちらは心電図で正確な数値を取るためにそられたのです。お嬢様の健康を支える健康診断。この回では、それを受けるために必要なハズバンダリートレーニングについても聞きました。 トレーニングに使用するのが、「クリッカー」という機器。動作を指示して、できたら鳴らし、これが鳴ればご褒美のりんごがもらえる仕組みです。「音がでれば何でも良かったんですが、これがちょうどいいなと思って」と話す梅元さん。ちなみに、使っているのは犬用だそうです。 このトレーニングに合わせて、週に2回、獣医さんがより詳しい検査を行っているのですが、タンタンは消毒に使うアルコールが気になるようす。自分の匂いを嗅いでいますが、このようなときは、りんごをあげて気をそらします。 トレーニングに関して「才能アリ」なタンタンですが、思ったようにできず、イライラしてしまうことも。「こちらとしてはできてなくても、タンタンにしたら『やったんだから、りんごちょうだいよ! 』となるわけですね」と梅元さん。肝心なのは、イライラさせたまま終わらないことなのだとか。10種類以上の検査・治療ができるなんて、さすがですね、お嬢様。