《那須焼損2遺体事件》「4人の逮捕はトカゲのしっぽ切り」本当の“黒幕の正体”とは
那須町で起きた衝撃の事件。宝島龍太郎さんと妻の幸子さんを殺害し、遺体を河原で焼損させるなど、犯行を隠す様子が感じられない不可解な犯行が耳目を集めている。5月1日時点で容疑者4人が逮捕され、徐々に捜査が進展しているものの、未だ全容の解明には至っていない。この記事では、元公安警察の松丸俊彦さんが経験と取材に基づいて、この事件の全容に迫る。犯行の背後には何があるのか。事件について不可解な点と組織的な関与の可能性について考察した。(構成/ダイヤモンド・ライフ編集部) ● 事件についてわかっていること 宝島龍太郎さんと妻の幸子さんが殺害された後、遺体が那須町の河原でガソリンをかけられて燃やされたという事件です。 遺体損壊の容疑で逮捕された平山綾拳容疑者は、「アニキから頼まれた」と供述していることから、平山容疑者に犯行を指示した者が別にいる可能性があると見て警察も捜査しています。 今回は、元公安警察の立場から、過去の経験と取材に基づいて、今回の事件について不審に思う点を解説していきます。 4月29日には、指示役の佐々木光容疑者が逮捕され、5月1日未明に実行役2名が逮捕されるなど、事件の全容解明に向けて捜査が徐々に進んでいるところです。 宝島龍太郎さんは上野・御徒町エリアで14店舗の飲食店を経営しており、近隣店舗とのトラブルが続いたと言います(4月22日 FNNプライムオンライン)。現役の警察官に聞き取りをしたところ、宝島龍太郎さんと近隣店舗の客引きをめぐるトラブルは何度も110番通報が入っていたようで、報道の内容を裏付ける証言を得ました。また、警察関係者の間でも今回の事件の特異性を指摘する声が多数挙がっています。 まずは、元公安警察の立場から、那須町で起きた遺体焼損事件における不可解な点について解説します。
● 今回の遺体の処理方法が不自然 この事件には特異な点が2つあります。1つ目は、遺体を河原で燃やしたことです。 通常、人里離れたところに遺体を隠す場合、「土に埋める」か「水に沈める」という手段が使われることが多いです。意図的に掘り起こしたり、地表の土砂が運搬されたり、すくい上げたりしない限り、見つかる可能性が低いからです。 しかし、今回はわざわざガソリンをかけて燃やしています。燃やすことで、臭いや煙が発生しますから、非常に目立ちます。犯行を隠したい人間の行動とは思えません。 したがって、今回の事件は何者かが「見せしめ」のために行ったと考えるのが道理にかなっていると考えます。また、「見せしめ」として殺人を行うのは、組織がメンツを保つためと考えるのが自然です。このケースも個人的な怨恨で殺害したというよりは、何らかの組織が殺害に関与していると考えられます。 加えて、遺体を焼損させる犯行は日本ではあまり起こりません。暴力団をはじめとする日本の犯罪組織は、もっと見つかりづらい方法で遺体を処理しようとします。したがって、今回の事件を主導した人物は、海外勢力の可能性があるのではないかと考えています。 特にアジア系の犯罪グループの関与も疑われています。「遺体はいずれも手を結束バンドで縛られ、顔に粘着テープが巻かれていた」(4月16日 読売新聞)という手法は、アジア系の犯罪グループもよく使う手段だからです。一部報道でも流れているように、近隣店舗との口論の様子として宝島さんが中国語で口論をする動画がありました。 河原で遺体を焼損させたという事実から、暴力団のような日本の犯罪組織ではない組織やグループが大元にいる可能性が高いと考えます。誰かに向けて、「組織に不都合なことがすればこうなるぞ」という脅迫のメッセージを発したのではないかということです。そして、犯行手口やトラブル内容からアジア系の犯罪組織の関与も考慮して捜査を進めるべきと考えます。