三菱自動車・益子会長が明言「18日までに全体像を説明できるようにしたい」
燃費試験の不正行為に関連し、三菱自動車は11日、国土交通省で記者会見を開き、現時点でわかっている不正行為の経緯を説明した。この日は益子修会長も出席し、ユーザーに対して「大変申し訳なく思う」と陳謝するとともに、18日までに一連の問題の全体像を説明できるようにすると明言した。 【関連動画】燃費不正で三菱自動車が会見 益子会長も出席
軽自動車4車種の走行抵抗試験は子会社に委託
一連の不正行為問題では、軽自動車4車種(eKワゴン、eKスペース、デイズ、デイズルークス)において、実際よりも燃費に有利な走行抵抗値(車両が走行する際の転がり抵抗や空気抵抗)を採用していたほか、走行抵抗の測定方法も、一部の車種を除き、日本の法律で定められている惰行法ではなく、高速惰行法を使用していたことがわかっている。 この日の会見で、三菱自動車側は軽自動車4車種の走行抵抗を測定する試験は、同社の性能実験部から100%子会社の三菱自動車エンジニアリング(MAE)に委託していたと明らかにした。不正が行われた経緯については調査中で、益子会長は、「MAEがすべて取り仕切って行ったのではなく、三菱自動車にも同等、あるいはそれ以上の責任があると思っている」としてMAEだけに責任があるとの見方を否定した。 また、これまで、軽自動車4車種の走行抵抗値の改ざんによって、正常な方法で測定した走行抵抗値を用いた場合と比較して、燃費は5~10%ほど乖離する見込みとしてきたが、社内調査によって乖離の度合いは5~15%だったという。現在、なぜそこまで乖離したのか理由をさらに調べている。 このほか、現在販売している9車種とすでに販売を終了した車種については、ヒアリングの結果、正しく走行抵抗を算出してなかったり、「RVR」などについては計算により算出した種類があると疑われるため、測定データの裏付けや経緯などを調査中であるとした。
「会社の安定に道筋をつけるのも経営者の責任」
ユーザーへの補償について、相川哲郎社長兼COOは、「乖離した燃費の分の燃料代プラスアルファで補償を検討している。国交省での試験をベースに再度届け出し直して、認可された時点で燃費から乖離した分が特定できる。ユーザーには、お詫びの言葉と補償を行う旨のメッセージをダイレクトメールで送っている」とした。 益子会長は、ユーザーに対して「大変申し訳なく思う」と陳謝するとともに、調査を進めて「最終的に、5月18日までに全体像を説明できるようにしたい」との考えを示した。不正行為のあった軽自動車4車種、現在販売しているその他9車種や過去10年間に販売した車種についても調査する。 経営責任について問われると、「不正が行われた現場の責任と、経営責任は分けて考えたい。現場については原因と責任を明確化し、再発防止に万全を期したい。また、経営陣も『知らなかった』ということで責任逃れはできない」と述べた。一方、自らの責任の取り方については、「会社を安定させる道筋をつけることも経営者の責任と考えている」としてすぐさま辞任しない意向を示した。 会社安定の道筋については、「会社の安定は今日明日で成るものではない。思い切ったことをやらねばならないが、そうすると摩擦も大きいはずで、その摩擦も解消する必要がある。できるだけ早くやる必要があると思っている」とした。なお、『思い切ったこと』の具体的な中身については、「これから皆さんに見ていただいて評価してもらうしかない」と言葉を濁した。 このほか、三菱グループへの支援要請を行うか否かについて問われると、益子会長は、「支援については今のところ具体的な話はない。2015年度決算までは順調だったので、補償などに要する金額は明らかではないが、三菱グループに要請する状況ではなく、自力でマネージできると判断している」として、現時点で支援要請を行うつもりはないとした。 (取材・文/具志堅浩二) ■会見全編動画