藤野涼子、初のワイヤーアクションに苦心「2日間の練習で全身筋肉痛に…」<七夕の国>
「寄生獣」や「ヒストリエ」などで知られる岩明均の同名漫画を実写化。映像化困難といわれ続けてきた“怪作”「七夕の国」が、ディズニープラスの「スター」で毎週木曜に独占配信されている。同ドラマは、“あらゆる物に小さな穴を開ける”という不思議だが何の役にも立たない超能力を持つ大学生・ナン丸(細田佳央太)が、世界に未曾有の危機をもたらす球体の謎に挑む姿を壮大なスケールで描く超常ミステリー。このほど同作で怪奇事件の謎を追うナン丸が訪れた丸神の里に暮らす、どこか陰のある女性・東丸幸子役の藤野涼子にインタビューを行い、作品の世界観や撮影中のエピソード、手に入れてみたい“能力”などを語ってもらった。 【写真】印象ガラリ…“お祭り”での爽やかな浴衣姿の藤野涼子ら ■「謎を解き明かしていくことが楽しくなっていきました」 ――原作は約30年前に発表された漫画ですが、原作を読まれてどのような印象を持たれましたか? 幸子を演じることが決まってから読ませていただいたので、彼女はどんな人物なのか、どのタイミングで登場するのか、と最初は幸子を追いながら読んでいたのですが物語が面白過ぎて。ナン丸さんたちと一緒に謎を解き明かしていくことが楽しくなっていきました。 ――脚本を読んで、幸子という役をどんなふうに演じようと思いましたか? 私が作品に参加する頃には、ナン丸さんたちの大学生チームは既に撮影が始まっていたということもあって、監督やプロデューサー、スタッフの方たちと本読みをさせていただきました。原作ではちょっと笑える部分があったので、最初はそれを踏まえて読んでみたのですが、監督から「感情を出さずにやってみて」とアドバイスを頂いて。気持ちを入れずにやってみたら「そのくらいのフラットな感じがいいんだよ」と言っていただきました。芝居をやっていく中で感情をそぎ落とすという作業を経験したことがなかったので、すごく新鮮な感覚でした。 ――“フラットな芝居”というのは難しそうなイメージがありますが。 難しいです。カメラの前に立つと、その場でリアクションするよりも自分で持って来たものを出したほうが楽だったりもします。でも、フラットな芝居というのはその場で起こっていることに対してビビッドに反応しないといけない。その集中力の大切さを感じましたし、現場では常にアンテナを張るようにしていました。 ――完成した作品を見た感想は? 細田さんも監督から同じようなアドバイスをされたとお聞きしていたので、映像を見た時にとても自然なお芝居をされていて、俳優のリアルな反応がちゃんと映し出されているからこそ、CGを使った非現実的なところがより現実味を帯びていくというか、監督が仰っていたことはこういうことだったんだなと気付きました。 ――ナン丸と幸子の距離感についてはどのように捉えていましたか? 好意があったのかなかったのか。恋愛的な気持ちがあったのかなかったのか。幸子自身もうやむやにしていて、もしかしたら後半あたりから憧れという意味でナン丸さんのことが気になっていたのかもしれないですけど、出会った頃は全くなかったのではないかなと思います。 ――幸子にとって、ナン丸はどんな存在だったと思いますか? 丸神の里に囚われている自分のようになってほしくなかったのかもしれません。台本には書かれていなかったのですが、謎が多いキャラクターの頼之(山田孝之)さんと対峙(たいじ)した時にとっさにナン丸さんをかばったりして。丸神の里のことを知らない人のことを守らなきゃという思いが強かったのかなと。 幸子は丸神の里に囚われている自分を変えたいと思っていて。自問自答しながら丸神の里の特殊な慣習と向き合っていくナン丸さんに憧れのようなものを抱いていたのかもしれません。 ――ナン丸役の細田佳央太さんの印象は? 細田さんは芸歴も長いのにとても謙虚な方。自分の役の捉え方と監督が求めているものを擦り合わせていく作業はとても難しかったりもするのですが、どんなアドバイスも素直に受け取ってすぐに体現しようとする。現場で“座長”である細田さんがどんな時も真摯(しんし)に向き合っていらっしゃるので私たちも自然と引っ張られていくというか、言葉ではなく行動で見せてくださるのでとてもいい雰囲気の中でお芝居ができました。 ■“夢のシーン”でワイヤーアクションに挑戦 ――そんな細田さんとの“夢のシーン”は大変だったそうですね? 本当に大変でした(笑)。初めてワイヤーアクションに挑戦させていただいたのですが、腰から吊られているから腕も足も全部自分で力を入れないとだめなんです。しかも、下から風が吹いてきてゆっくり動かないといけない。2日間の練習で全身筋肉痛に。歩くのもつらかったです。 ――普段、夢はよく見ますか? 私はどこでもぐっすり眠れるタイプなのであまり夢は見ません。でも、悪夢を見た記憶はあります。 ――その悪夢、とても気になります。 ただただ気持ちが悪い夢。小学生の頃に1回だけ見たんです。しかも、お正月に(笑)。一緒に寝ていた両親を叩き起こして泣いていたことを覚えています。 ――ナン丸は小さな超能力を持っていますが、藤野さんはどんな能力が欲しいですか? 身長を自在に操れる能力が欲しいです。ライブ会場などで私より背の高い人が前に来たらちょっと大きくなって、舞台を見に行ったときに座高が高過ぎて迷惑だったら低くなったり。お芝居する時もヒールを履く役では少し低め、スニーカーの時は170cmぐらいとか。プライベートで散歩をする時に180cm以上の目線も味わってみたいです。バスケをやる時は2m以上欲しいかな(笑)。 ◆取材・文=小池貴之